建設コンサルタント技術者は常に独立の可能性を模索すべし

 建設コンサルタント技術者が独立するということは、自分でリスクを負って、自分で判断して行動して、技術のプロとして顧客に価値を提供して報酬をいただく、ということです。
自分の能力の究極のチャレンジと言ってよいでしょう。

(「不安が大きな時こそ挑戦しよう」もご覧ください)

 現状で建設コンサルタントの技術者で、独立を考えている人はあまりいないと思います。
独立願望というは、個人間で差があるものなので、むやみな独立を勧めるものではないです。
ただ、「技術者は常に独立の可能性を模索すべし」と声を大にして言いたいです。

 理由は、独立の可能性の模索することで「すべてが良い方に変わってくる」からです。
と言われても多くの人は「はあ?」って感じだと思います。

 なぜ、常に独立の可能性を模索していると「すべてが良い方に変わってくる」のか理由をいくつか挙げたいと思います。

学習意欲が湧いてくる

独立するということは、自分でリスクを負って、建設技術のプロとしてお金を稼ぐことです。また、独立した場合、営業も総務を自分でやらなければなりません。
プロとして、技術力をつける必要が痛感できます。当然、自分の専門技術を極め技術士を取得しておこうとするでしょう。
既に技術士を取得した人も、技術の幅を広げたり、経営など様々な勉強をする必要性を感じるでしょう。
40代前半くらいまでに技術士を取得した人は、そこで目標を失い学習を一段落しがちです。
独立を視野に入れておけば、学習の必要性を痛感し、意欲が湧いてくるでしょう。

業務へのモチベーション

プロとしての技術を身に着けるには、本での学習だけでは不可能です。実務で様々な経験、実績を積むことこそが最も重要になります。
社内の評価を考えると、大きく華やかな業務に目が向きがちですし、小さく、儲からない、面倒なことが多そうな業務は避けたくなります。
しかし、独立を視野に入れていると、こういう泥臭い業務、儲からない業務など、本来は避けてきた業務にも目が向くようになりますし、やる気も出て来ます。
より深く考え、より上手く、より完璧に業務をやろうとういう意識が芽生えてきます。
結果的には、バランスよく業務経験を積むことができるでしょうし、客先や社内での評価も上がるでしょう。

人を見る目が変わってくる

社会人は、発注者・受注者、上司・部下、親会社・子会社など、様々な社会的な関係の中で生きています。本来、立場の違いがあっても人間としての上下関係はないはずですが、実際は立場の違いで、横柄で威張り散らすような人が多々存在します。
私個人は、独立し経営コンサルタントや人材紹介業をやっているおかげで、様々な人と会う機会がありますが、創業者で成功した人、やり手の経営者、という人で、立場を理由に威張り散らす人は、意外にもあまりいませんでした。
物事に直球勝負で、理詰めのために厳しさはありますが、そこに悪意はありません。
魅力的な人物が多いと思います。

 自分でリスクを負っている人間は、威張り散らすことの危険と、意味の無さを理解しているので、当然そうなります。
ビジネスというのは一人で成り立つものではなく、顧客がいて、社員や協力業者もいて、お互いに価値を提供して報酬を貰っています。
お互いフラットでWin-winの関係を持たないと、長期的な関係は築けません。
逆に、Win-winの関係が理解できない人とは、付き合えなくなります。

 そのため、独立を視野にいれて行動していれば、下請けさんを無理に値切ったり、協力業者さんに威張ったりすることの無意味さを理解できるでしょう。
同じく、同僚にライバル意識を燃やしたり、部下や後輩に威張ったり、理不尽な要求をすることの無意味さを理解できるようになります。
逆に、立場が上の人間に、理不尽な目に遭ったときに、怒らず、冷静に対処できるようになります。マウンティングだったり、脅威に感じていたり、なんらかあなたをコントロールしたいと思っているのかもしれない、相手の行動の意図がなんとなく理解できるようになります。

転職判断や転職先選び

現勤務先の会社が嫌でも我慢して働いている人が多いと思います。
また、転職する場合、現勤務先より大きく、有名な会社に転職したがる人が多いです。
日本社会において、勤務先のステータス、大企業信仰というのは、根深いのですし、終身雇用の価値観も強く、福利のしっかりした大企業に転職したい気持ちも仕方がない気もしています。

 将来の独立を視野に入れていると、独立前に何社か経験しておいた方が業務への対応力が付くと考える人が多いでしょう。
また、独立を視野に入れている人の転職先選びは、だいぶ変わってくると思います。大企業より、中小企業の方が独立を視野に入れた修行としては向いているでしょう。
小さくて、自由にやらせてくれる会社、場合によっては設計下請け会社という選択肢もあります。

 独立を視野に入れていれば、年功序列や終身雇用の発想もなくなり、一度の転職失敗にもめげなくなります。

 独立を視野に入れていたけれど、転職先で大活躍して経営幹部や、社長になるということでも十分自己実現かもしれません。
本当のプロは自分でリスクを取って、技術を評価してくれる組織に移っていった方が満足できる人生が送れるでしょう。

まとめとして

上に書いてきたように、独立を視野に入れて、あらゆる学習や業務経験を積み、また、周囲の関係者と上下関係ではない、win-winの関係を築くように心がけていれば、視野も広がり、独立しても食べていける。本当の意味での実力がついてきますし、仲間もできます。
社内での貢献度も増して、人間関係も円滑になります。
また、他人の評価を求めて、顔色を伺く必要もなく出世願望もなくなってくるでしょう。
他人を助けたり、理不尽なことに泣き寝入りせずに対抗できるようになれます。

 仮に、対抗した結果としてより、より理不尽な目にあったとしたら、それは、良い機会であって、独立や転職をすべき時です。
人間関係のゴタゴタに巻き込まれず、自分の価値を発揮できることに集中することを決断すべき明白な兆候です。

 このように、技術者は常に独立の可能性を視野にいれて行動していれば、すべては良い方向に回り、どう転んでも後悔のない人生を送ることができます。
参考になれば幸いです。

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