働かないおじさん500万人の衝撃【if 終身雇用廃止】

そこそこの規模の会社になると、同僚から見ても何やっているのかわからない、謎の人達が存在しているものです。

 そうした人達は、「社内失業者」、「働かないおじさん」、「妖精さん」などと呼ばれるらしいです。

 2011年時点の内閣府調査で、既に国内に465万の「社内失業者」が存在しているらしいですが、昔から「窓際族」という言葉があることからも、90年代のバブル時から数百万人の社内失業者が存在していたはずで、現在に至っては、500万人の「社内失業者」が存在しておかしくありません。

 つまり、過去数十年間、数百万人の社内失業者を常時抱えて続けて来たのが日本企業です。

 ちなみに、日本の雇用者総数は5500万人強で、そのうち正規雇用者は3,600万人くらいで、役員と嘱託等を含めると4,000万人くらいです。

 500万人も「働かないおじさん」が存在するとしたら、社員の8人に一人が該当することになります。

 そんな人数がいたら、日本の労働生産性(時間あたり)がOECD最低レベルなのも仕方がない気がします。アメリカの6割程度しかありません。日本独特の表に出ない労働時間を含めると、もっと下がりますね。

 今回は、「働かないおじさん」が500万人存在すると仮定して、その実態と、もし500万人もの「働かないおじさん」が存在しない社会はどうなるのか、そのインパクトについて、考察してみます。

※「働かないおじさん」という言葉は、同じおじさんの立場からは、気分良くないですが、実際のところ大部分が男性だと思いますので、便宜的に「働かないおじさん」と呼称します。

1.働かないおじさんの実態

 国内のいろいろな調査でも、社内失業者が相当数 存在するように言われていますが、実際のところ、「働かないおじさん」の定義が不明確であり、主観的なアンケート結果から測定されていると推定しています。

 単純に定義すれば、「いなくても困らない人材」、「貰っている給与に対して、貢献が低すぎる人材」という定性的な定義になります。

 具体的には、以下のような人達です。

(1)働かないおじさんの分類

①責任や面倒な仕事から逃げ回って暮らしている人達

入社10年も過ぎる30代くらいから、出世を諦めて、仕事を後輩に押し付け、面倒な仕事から逃げ回って暮らす人が一定数現れてきます。

 参考コラム:「業務から逃げ回る達人の思い出

②重層化し存在意義のない管理職

年功序列企業では、普通にやれば並レベルの出世はできます。

 会社は、その人にポストを準備しなければなりませんので、まず、ラインが階層化します。管理職の職務は、部下の監視と数値の集計、上から下、下から上の伝言ゲーム的な、なんら高度な意思決定も必要のない仕事ばかりになってしまいます。

 さらに、非ラインの役職も増えます。部長じゃないけど部長級、○○室長、~官みたいな感じです。

 そうやって社内が管理職だらけになります。

 組織論的に、統制範囲を大幅に超えて管理部門が肥大化し、指揮系統も責任も錯綜し、誰も何も責任を負わない感じで曖昧になっていきます。

 ※参考コラム:「年功序列・終身雇用はいつまで続くのか

③年金が貰えるようになるまで、会社に養ってもらう人達

大ベテランは一生懸命働く人もいますが、大体が再雇用や役職定年になったあとは、年収半減が普通で、モチベーションが低下します。また、今更、現役で業務なんてできない人もいます。そこで、多くは、大先輩として後輩から尊重され、社内をフラフラしならがら年金支給まで会社のお世話になる意識でいます。

 また、社員数万の大企業になると系列関連会社等が無数にあります。そうしたところにポストを用意されて養ってもらうケースも結構あります。

 日本企業の出世の鉄則は、「先輩、同僚にポストを作る」ことです。最近のМ&Aブームも、実はそうした目的もあります。

④本当は貢献しているのに理解されない人達

本当は、他人の3倍も稼げるエース級の能力を持つ人達です。でもこうした人達は、

「頑張って同僚の何倍も稼いでも、大して評価されるわけでもなく、却って、嫉妬されて社内の居心地が悪くなる」ということに途中で気がついてしまいます。

 そこで、「並レベルにやればいいや」と働き方をチェンジしてしまった人達です。

 こうした人達は、実は人並み以上には貢献しています。

 でも、エース級が人並レベルの成果を出すのは、30%出力くらいで簡単なことです。

 そもそも、仕事のスピードが何倍も速い上に、何ら手戻りもトラブルも起こしません。

 だから目立つことがなく、周囲から「働いていない」と思われてしまいます。

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(2)働かないおじさんが多い業界・少ない業界

働かないおじさんが存在しやすい条件は以下のものです。

 ・企業規模が大きい

 ・所有と経営が分離されている会社、上場企業(関連会社含む)

 ・売上高人件費率が低い会社

 ・国際競争に晒されてない業種、規制で守られた業種、公的分野の関連など

 ・職務機能が細分化されており、個人の貢献度が定量化できない仕事

逆に、中小零細企業では、働かないおじさんを養う体力がありませんし、オーナー企業は、企業の所有と経営が一体化しており、無駄に敏感です。

 また、国際競争が激しい分野は、もう働かないおじさんを社内に養っていたら淘汰されかねない時代になりつつあります。

 ※参考コラム:「48歳定年制の話

 人件費率ですが、売上高人件費率が70%の企業の20%が不要な人材であれば、売上に占める比率が14%にもなってしまい、大変な負担です。

 一方、売上高人件費率が10%の企業であれば20%が不要な人材であっても、売上に占める比率は、たった2%で、大して負担ではありません。

 また、個人の貢献度が明確になる仕事は、働いていないことがバレやすくなります。

 つまり、コンサル業は、働かないおじさんにとって最悪の職場です。

 働かないおじさんにとっての天国である大きな組織(できれば上場)、絶対につぶれない公的分野関連、国際競争の無い業種、個人の貢献度が曖昧で、売上人件費率の低い職場ですが、国と地方の総財政支出は230兆円、その他、インフラ企業も含めれば、GDPの半分以上は、準公的分野の産業です。

 働かないおじさんの天国は、意外と多く、そうした組織では、3人に一人くらいは、働かないおじさんである可能性はありますね。

 ※日本と欧米の雇用制度の違いは、下のコラムを参考にしてください。

  参考コラム:「公務員からの転職希望者が急増している件(異変)

(3)働かないおじさんの人物像

 500万人もの「働かないおじさん」ですが、安定した大組織に正社員として入社できたことからも分かるように、多くが、学生時代の学業成績は上位層で、高学歴(大卒以上、有名大学等)な人達です。

 さらに安定した大組織に所属し、一般社会ではエリートとされるケースが多いでしょう。

 実際に、高度な教育を受けて、能力レベルが高い人がかなりの比率で存在しています。

 しかし、年功序列の組織で長年過ごすと、何があっても職位と収入が保証されるため、所属組織のステータスと自己評価が融合し選民的な思考を持ってしまう人もいます。

 本来優秀だった人達が、こういう人生を送るのも、年功序列、終身雇用の被害者だとも言えます。

(4)自覚がある人は、ごく少数

残念ながら、自分が周りからは組織に必要ない「働かないおじさん」であると思われている自覚がある人はごく少数です。 

 その理由は、先にも述べた通り、人間誰もが自己評価はかなり高いことが挙げられます。

 ※参考コラム:「社内の不当な低評価に苦しんでいる人へ

 仕事から逃げ回っている人は、自分が不当に低評価され、割に合わない仕事を押し付けられていると本気で思っています。

 階層化し存在意義のない管理職でも、部下を無能と決めつけ、監視したり会議したり、書類を作ったり、それなりに忙しく、「俺がいなければ会社はつぶれる」くらいに思っています。

 年金が貰えるまで養ってもらう人も、若かりし頃のご奉公の回収をしているだけで、当然の権利だと思っています。

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2.働かないおじさんの日本企業の負担総額(仮定)

仮に、500万人も働かないおじさんが存在するとしたら、日本企業は、毎年どれだけの費用を負担しているのでしょうか?

 以下の条件により計算すると、「働かないおじさん」の日本企業全体での負担は年間60兆円となります。

 ①働かないおじさん 総数:500万人、平均年収:600万(低めの推計値)
 ②貢献度は、ほぼ無し(辛口設定)

 貢献している人もいれば、本人にその気がなくても、階層化により意思決定を遅くし、変革を阻害し、部下に無意味な管理・干渉したり、優秀な人材をつぶしたりして、損失になっているケースもあり、全体平均の貢献度をゼロと仮定します。

 ③働かないおじさん 一人あたりの年間コスト

 平均年収600万に社会保険・退職金等の会社負担、オフィス・デスク、機器、通信・交通費、管理(人事、経理、総務)等を含めると、最低でも年間一人当たり1,200万の総コストが必要になります。

 ④日本企業全体の「働かないおじさん」の負担値

  総数:500万人×総コスト1200万/人=60兆円/年

   ※推計値ではなく、シュミレーションを行う上の仮定値です。

 バルブ崩壊時に既に、数百万の働かないおじさんが存在していたはずで、30年間の負担額は、延べ1,000兆円を軽く超えると思われます。

 もし、このお金が、将来の価値を生み出す投資的なことに使われていたら日本は今頃どうなっていたでしょうか?

※参考:「お金の使われ方 費用と投資について」(弊社別サイトへ移動します)

 まっとうなビジネスはすべて、顧客に価値を提供し報酬を受け取るものです。

 ビジネスはライバルとの競争がありますので、常に「より優れた価値」を提供するための投資をする必要があります。

 つまり、投資とは、未来の価値創造のためのお金の使い方で、具体例として研究開発や教育・人材育成、設備・インフラ投資が挙げられます。

 一方、費用は使えば、消えてなくなり、将来の価値を生み出しません。

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3.もし500万人の「働かないおじさん」が存在しない世界になったら

ここで、もし「働かないおじさん」が存在しない世界があったら、日本はどうなるのか、仮説的にシュミレーションしてみます。

(1)働かないおじさんを養う負担軽減の行方

もし働かないおじさんが存在しなくなると、60兆円の負担から解放された日本企業の税引き前利益が年間60兆円増えます。(タックスヘイブン等の節税小細工しない仮定で)

 現状の日本企業の純利益総額は約30兆円(2017年)であり、日本企業の純利益額は、現状の3倍(30→90兆)になります。※日経平均、爆上がりです。

 毎年60兆円の純利益増ですが、以下のように配分されるとします。

 ①税収入増(法人関連税):24兆円/年(全体税率40%)

 ②企業の内部留保:36兆円/年(税引き後利益)

(2)24兆円の税収増の効果

毎年24兆円の法人関連税収が増加した場合の効果を体感するために、24兆円の使い道を個人の独断で以下の二つに限定した場合を想定します。

①毎年4兆円を最先端分野への研究開発に投資

最先端分野は、例えば再生エネルギーや蓄電池、AI人口知能、IT、ビックデータ、製薬・医療、農業(人口肉など)、宇宙開発、スマートシティなどなど様々あります。

 現状の、日本の大学の研究開発費(全学術分野)総額は年間2兆~4兆円(データによって差がある)です。

 現状の全学術分野全体の研究費4兆に対して、さらに毎年4兆円を最先端分野に研究開発投資するということは、凄まじい戦略的投資であり、その成果が想像できると思います。

 最先端分野の研究で、日本が世界トップクラスになるのも夢じゃありません。

 研究員一人当たり総コストを年間2,000万円とすると、20万人の最先端分野の研究員の雇用が必要になります。

 ※日本の博士号取得者数は年間15,000人程度です。博士の就職難は、ほぼ解消されるでしょう。

②20兆円を国民に直接支給(月2万のベーシックインカム)

日本の総人口から、公的年金や生活保護受給者を除くと8000万人くらいです。

 その8000万人に20兆円を直接支給すると、一人年間25万円、全員に毎月2万円のベーシックインカムを支給することができます。

ベーシックインカムの経済効果ですが

 4人家族(夫婦、子2人)家庭では、月8万円(子供手当含めれば月10万超、年間120万位)になります。

 ※年間100万円、10年で1,000万、30年で3,000万円になり、地方なら新築一戸建てが買えます。

 20兆円のベーシックインカムの使われ方が、「観光・飲食・遊興」、「住宅・家具・家電」、「教育・自己投資」の三等分(6.7兆円)と仮定すると、それぞれの現状市場とインパクトは

 ・観光産業28兆円、外食産業33兆円(コロナ前)←6.7兆円プラス

  市場規模に10%程度プラス、所得の低い地方部ではかなり効果?

  インバウンド市場が5兆程度なので、それ以上の効果はある  

 ・住宅・リフォーム(家電・家具等含む)9兆円 ←6.7兆円プラス

  市場倍増、住宅関連バブルの可能性あり

 ・学習塾・リカレント(成人向け再教育分野)2兆円 ←6.7兆円プラス

  現状の4倍の市場規模になる。空前の教育・自己投資ブーム

  収入差による社会階層固定化解消にも大きな効果

 ※ベーシックインカムの実現性については、以下を参考してください。

 参考コラム:なぜ挑戦できないのか「ベーシックインカムは実現してしまう件」(弊社別サイトへ移ります)

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(3)企業の内部留保36兆円増の効果

36兆円もの内部留保(増加した自己資本)の使い道ですが、「借金返済」「株主配当」「将来の利益への投資」の3つに分かれます。

 借金が軽減されれば、金利負担が減り利益が増えます。株主配当を受けた投資家は、それを再投資に回します。

 だから、内部留保は、最終的にほとんどが「将来の価値創造への投資」に回ります。

 また借金して投資する場合と、100%自己資本で投資する場合を想像すると分かりやすいですが、失敗しても元本以上の損がないので、自己資本(内部留保)からの再投資は、企業側はハイリスクで挑戦的な投資がやりやすくなります。

 現状の日本企業の投資レベルは以下のものです。

・日本企業の研究開発費総額14兆円、設備投資額18兆円

・国内ベンチャー企業への投資額5000億(2020年) ※参考:米国 17兆円/年

 年間、内部留保36兆円の増加の効果ですが、「将来の価値創造のための挑戦的な投資」、スタートアップ・ベンチャー投資、最先端分野への研究開発等への民間投資が現状の数倍~数十倍になり、それらは将来の日本企業の利益になって戻ってきます。

(4)働かないおじさん500万人はどうなるか

もし、労働市場に500万人もの「働かないおじさん」が放出されてしまった場合、どうなるのでしょうか?

 悲惨な状況になると考える人も多いでしょう。

 しかし、個人的にはそうはならないと思います。

 理由を以下に解説します

①雇用に年齢的な制約がなくなる【即戦力の中高年ほど採用されやすくなる】

中高年の外の世界に放り出された時の恐怖は、「どこからも採用されない」ことだと思います。社会から全否定されるような恐怖でしょう。

 でも、それは現状が年功序列で終身雇用の社会だからなのです。

 会社側が、正社員で採用してしまったら、昇給も昇進もさせて一生面倒見なければならないことは、企業にとって大変なリスクです。

 だから、企業側は若い人を採用したがり、さらに、派遣等の非正規雇用を使うのです。

 そうした問題が解消された世界は、年齢面での雇用の制約がなくなり、実力・能力本位での採用になり、即戦力の中高年の採用確率は、飛躍的に増加するでしょう。

 企業の正規雇用が増大し、非正規雇用者が激減するはずです。

②膨大な雇用やビジネスチャンスが新たに生まれる

先にも述べた通り500万人の雇用の負担から解放された日本企業の純利益は、年間60兆円増加します。

 その利益は、民間分野では、スタートアップ・ベンチャーや先端分野への研究開発等のハイリスク投資が現状より数倍~数十倍は増加します。

 公的分野ではベーシックインカムによるセーフティネットの強化と、将来の価値創造の基礎研究分野に投資されることになります。

 結局、何かをやるときの「コスト」というのは、最終的には大部分が人件費なのです。

 だから、その60兆円分の雇用が増えます

 特に、エンジニアや研究開発人材は圧倒的に不足し、理工系分野の人材は、高騰し年収2000万くらいが必要になるかもしれませんし、マネジメント人材も引く手あまたになるはずです。

 また、ベーシックインカムにより地方部の所得増効果が大きく、都市と地方の所得格差は減少します。

 地方部の、所得と消費増により、これまでにないビジネスチャンスが生まれてくるでしょう。

③能力のある人が本気になるから

「働かないおじさん」と呼ばれる人も、元々、高度な教育を受け能力値が高い人が多いのです。

 「やってもやらなくても評価は変わらない組織構造」、「目立ち過ぎると却って危険」という条件の中で合理的な選択として、社内政治にリソースを割いて、長い物には巻かれて生きるようになったのです。

 もし、終身雇用が廃止される代わりに、年齢面での中途採用の不利もなくなり、創造的な仕事の求人やビジネスチャンスが飛躍的に増え、何度でもやり直せて、本人の努力と才覚次第で、どこまでも伸ばせる社会になれば、組織内に埋もれていた人材が、本気を出すと思います。

 ※おじさんが本気を出した事例は、下のコラムを参考にしてください。

   参考コラム:「独立するする詐欺も悪くない(ある先輩の物語)

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(5)それでも悲惨な状況になる人は出るか

500万人も「働かないおじさん」がいれば、100万人位は、有利な再就職ができない人がでると思います。

 そうした人は、どうなるでしょうか

 ここで、年収600万→年収300万と半減した場合を考えてみます。

※4人世帯(夫婦、子2人)家庭を想定

①現状:世帯年収700万、内訳 夫年収600万、妻100万(パート)

②転職後:世帯年収500万、内訳 夫年収300万、妻100万(パート)、ベーシックインカム100万

 以上より、年収600→300万に半減しても、世帯年収は、700万→500万となります。

 世帯年収500万で悲惨な状況とは言えないでしょう。地方なら上位層です。

 人生は運・不運も大きく左右します。あとは、長期戦で地道に実力を上げていくしかありません。

 個人的には、地方の課題、過疎・高齢化や農業分野等で活躍して、それぞれの自己実現を追求するのが面白いと思います。

 ※介護や、技能実習生の問題も一挙解決です。

(6)長期的にはどうなるか

もし、毎年60兆円が、「将来の価値創造への投資」と「セーフティネット」に使われる社会になり、組織に埋もれていた最優秀層の数百万人が、本気を出して外の世界で挑戦し始めたら、社会はどうなるのか考えてみれば分かると思いますが、

 毎年の「お金(数十兆円)+人材(数百万人)」の投資の成果により、経済がどんどん成長します。

 社会が、より自由で豊かで便利になります。

 つまり、GDPがどんどん増え、国民の所得も増え、税収も増え、さらに社会保障も充実します。

 ベーシックインカムだって、毎月2万といわず、毎月5万くらいは可能になるかもしれません。セーフティネットが強化されれば、さらに挑戦的な生き方が容易になります。

 マネジメントと研究開発系の高度人材は、とにかく人材不足が予想されるので、リカレント分野、大学再入学等は大盛況になり、それぞれ個人が望む自由な生き方ができるようになるでしょう。

 以上のように、一時的に所得が減少する人はいるでしょうが、5年10年のスパンでみれば、ほとんどの人が、現状より豊かで自由になっているはずです。

おわりに

このコラムを書いたきっかけですが、ほとんどの人が安定した正社員、年功序列、終身雇用の組織に所属することを熱望することに対して、果たして年功序列・終身雇用制度は日本を幸せにしてきたのか考えてみるためです。

 今回は、あくまで大胆な仮定を元に、考察してみました。

 ※増えた税収や内部留保が、国内の成長投資やセーフティネットに利用される楽観的?な前提に基づいています。

 お願いがあるのですが、どなたか、経済学に詳しい方、政策研究に従事する方々は、もっとデータを詰めて、詳細にシュミレーションをして社会に発表してください。

特に以下の2ケースをお願いいたします。

 ・もしバブル崩壊時に終身雇用がなくなっていたら、今の日本はどうなったのか

 ・今後も年功序列・終身雇用を存続させた場合と、やめた場合の30年後の日本

 ※雇用制度に関する議論が、科学的シュミレーションに基づいて行われるようになることを願っています。

 個人的には、もし、バブル崩壊時点で終身雇用が廃止され、毎年、数十兆円、30年で延1000兆円以上を将来の価値創造への投資(お金+人材)に回せていたら、失われた30年などという言葉は無かったと思います。

 今でも世界企業ランクに日本企業が並び、GDPは1,000兆円、国民所得は現状の2倍、非正規ワーキングプアや財政、社会保障や高齢化の問題もない、ユートピアになっている可能性はあると思っています。日本のポテンシャルを信じています。

 現在「働かないおじさん」とされている人は、楽で安定した人生で満足かもしれませんが、本当は、もっと素晴らしい別の人生があったのかもしれません

 ※老後の後悔の代表的なものが「あの時、挑戦すればよかった」らしいです。

 でも、過去を悔やんでも仕方ないので、今から10年後20年後、もし今のままいったらどうなるのか考えてみましょう。

 おじさんだって本当は「本気だしたらすごい」のです。今こそ、おじさんパワーを見せましょう。

 新たな挑戦を応援しています。

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