辞めさせてくれない!建設コンサルタントの引き留め対応と上手な辞め方

建設コンサルタントで、30代、40代の現役で活躍して、会社に貢献している人が辞める時は本当に大変です。
会社も必死で引き留めをしてきます。

 また、部下が辞めると、その直属の上司は会社からの評価が下がります。そのため、なお一層、懸命に引き留めをしてくることが普通です。

 特に初めて転職する人は、とても苦労するのが普通で、中には転職を断念してしまう人もいます。
ここで、建設コンサルタントの退職の引き留め対応への方法について述べます。

1.会社側はこうやって退職引き留め工作をやってくる

よくある建設コンサルタント会社の退職引き留め工作のパターンは以下のようになります。

・辞表を受理しない

上司が辞表を「俺のところで預かっておく、一か月くらい考えてみろ」といって、物理的に受理してくれないことがよくあります。
こうやって、まず引き留め交渉をする時間を稼ぎます。

・懇願、ほめ殺し

「君には本当に期待しているんだ」、「君がいなくなったら会社が困る」という感じで、将来が保証されているようなほめ言葉や、退職を思いとどまるように懇願したりします。
「俺ってこんなに評価されているんだ」と勘違いしてしまうかもしれません。

・不安を煽る

転職先が決まっていれば、「あそこは、厳しいらしいよ」など様々な悪い情報を流します。また、転職に対する不安を煽ります。「世の中そんなに甘くない」、「きっと後悔するよ」、「○○さんも転職して後悔しているらしいよ」など不安を煽ります。

・条件アップ 特別扱い提案

特別の昇給や昇任、転属など提案し、あなたは特別だという優越感を煽ります。
社長や会社幹部が二人で飲もうと申し出て来て、その場で特別扱いを提案してきたりします。

 ここまでで、辞表を出して、あっと言う間に一か月過ぎ、当時の決意も揺らぎ始めます。

・新規業務が入ってきた!

「君にしかできる人はいない」、「業務の最初の段取り部分だけでもやってくれないか」などと、新規業務に関与させようとします。

・責任感を煽る

「業務の引継ぎは無理だから、全部終わらせてからしか辞められないよ」などと引継ぎ拒否、さらに新規業務については「あの業務は、君が担当で契約してしまった」「辞めるなら、新規業務は、きっちり終わらせていってくれ」、などと無茶な注文をだします。
辞めるのが1年先となれば、転職そのものを諦めてしまうでしょう。

 ここでも、辞意を崩さないと、だんだん強硬になってきます。

・脅し透かし

「まさか業務を投げ出して辞めないよな!」
「今まで、いろいろ面倒みてやったのに辞めるとは何事だ!」

 だんだん脅迫まがいになってきます。会議室で上司に取り囲まれて説得されたらかなり参ります。

・家族を巻き込む

配偶者や両親等が、会社関係者と知り合いだったりすると、家族に不安を吹き込むことも考えられます。家族から転職への反対が起こると大変厳しい状況になります。

 こんな感じで、退職引き留め工作を波状攻撃されると、腰砕けになってしまう人がいます。

 しかし、ここで退職を諦めて会社に残ると、「本当は辞めるつもりもないのに、辞めると会社を脅して特別扱いを要求したずるい奴」という噂が確実に社内に広がって、ますます会社の居心地は悪くなります。
結局、体調を崩してしまう人も多いですし、新展開が数年遅れたことによる機会損失や、やりたいことを諦めたその後の後悔は大きなものとなるでしょう。

2.建設コンサルタント会社の上手な辞め方

建設コンサルタントの引き留めに対応して、円滑に辞めるためには、タイミングを計り、電撃的にサッと辞めるのが理想です。
具体的には以下のやり方がベストです。

・辞める覚悟を決める

まず、会社を辞めるのか辞めないのか、きっちり決めてください。
一度、辞表を出したら必ず辞める覚悟が必要です。もし残っても碌なことはないのです。
とにかく中途半端な行動は、周りに迷惑をかけて、自分の評判を堕すだけです。
引き留められて残る可能性があるなら、そもそも転職はしないほう方がよいです。
もし、解消可能な不満があるなら辞表を出さずに、まず会社に要求してください。

・円満退社はないと諦めること

有能な人材には、円満退社はありません。
どれほど円満退社を心掛けても辞める事実は変わりません。
後ろ指をさされて陰口を言われても辞める覚悟が必要です。
ただ、業務引継ぎ等、できるだけ会社や同僚に迷惑をかけないように努力はしましょう。

・事前に誰かに相談しない、辞める気配を覚られない

辞表提出前に辞める気配を覚られると、先回りして引き留められてしまいます。
本気で転職する気持ちがあるなら、社内のどんなに親しく信頼できる同僚や先輩であっても、転職相談をしてはだめです。「転職相談してくる人=引き留めてほしい人」です。
また、会社を辞めた元同僚に相談するのも勧めません。どこかで情報が漏れる可能性があります。

 自分の人生なので自分でよく考えて決めてください。
辞表を出すその時まで、辞める気配を覚られないことが重要です。

・辞表が出せるタイミングはわずか

辞表を出すタイミングを計ります。なるべく引継ぎ等の迷惑をかけないように考えると、
業務の切れ目等のタイミングがあるのは、1年のうちのわずかな期間です。
タイミングを逃さず、すかさず、辞表を出しましょう。
※次年度繰り越し業務を抱えている人も、完全に終われせるのを待っていたらいつまでも転職できません。
ある程度、割り切って、他人に引き継ぐこと前提で、辞表を出すタイミングを決めてください。

・辞表を出したら交渉しないことを宣言

辞表の出し方は、まず、「退職願い」を出して上司の許可を得てから「退職届」を出すのがスタンダードのようですが、この方法はダメです。
この方法では、上司が許可しなければやめられないことになります。
退職は、雇用者の権利であり、法的には2週間前告知で辞められるのです。

 辞表には、「一身上の都合で○月末日に、辞めさせていただきます。」と「辞める」という事項と期限を明確に宣言することが重要です。
さらに、辞表の中で「引き留め等の交渉は一切、受け付けません」と宣言してしまうことを勧めます。

・辞表提出から退職日までの期間はなるべく短く

法的には、雇用者は二週間前告知で辞められますが、就業規則的には3か月前告知となっている会社も多いと思います。
辞表提出から退職までの期間は、可能な限り短くしましょう。
とにかく、辞める時は人間関係の煩わしいことが多いので、短い方が楽です。
業務の引継ぎ等の準備を合わせて、辞表提出から一か月くらいで辞めるのが理想ですが、最大3か月くらいに抑えたいところです。

・会社側の引き留め工作について

辞表で「退職」と「引き留め交渉拒否」を宣言しても、会社は当然、引き留め工作を行ってきます。
例えば、「引き留めはしないから飲みに行こう」、「会社の経営のために本当の退職理由を教えてくれ」、「どこに転職するのか?」などのアプローチが考えられますが、これらはすべて、引き留め工作の糸口になってしまいます。
基本的には、退職までは会社や同僚とは余計な接触はしない、自分の情報は話さないことです。
会社が経営のために退職理由が知りたいのであれば、退職後に伝えてください。

また、新規業務の投入や関与は断固拒否してください。これ重要です。ここが弱腰だと辞められません。

・退職日までの過ごし方

退職日までは最後のご奉公だと思って、淡々と残務処理と、業務引継ぎ等の作業を進めてください。
引き継ぐ人にできるだけ迷惑をかけないように努力すべきです。ただし、引継ぎの関係で要望されて退職日をずるずると延期することは拒否してください。
退職日が決まって、少しほっとして転職先等をしゃべってしまう人がいますが、この時期は親切を装って、不安になることや否定的な情報を吹き込まれたり、陰口をたたかれたり、することがよくあります。
いちいち反応してはいけません。人間観察だと思って我慢します。
また、社内に余計な波風を起こさないように注意しましょう

・退職後の注意点

退職後に、以前の勤務先から業務に関する問い合わせが来ることがあります。
その場合、なるべく真摯に対応してあげてください。ただし、電話等でわかる範囲を口頭で答える範囲で結構です。実務作業をしてはいけません。

 また、元同僚等に辞めた会社の悪口を言ったり、自分の会社に誘ったりすることはやめましょう。
辞めた会社に恨みを持っている人も多いと思いますが、辞めた会社に迷惑をかけないように努力すべきだと思います。
建設コンサルタント業界は、狭いので、またどこかで関わる可能性があります。その時に、お互い悪印象がないようにしておいた方がよいです。
嫌だった奴とも、いつか笑って酒でも飲めるようになりたいものですね。

 長くなりましたが、円滑な辞め方がイメージできたでしょうか?
辞められなくて困っている人、ご参考にしていただければ幸いです。

(こちらの記事も参考にどうぞ「辞表受理後、退職は社内に秘密にしてもらうべき」)

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