建設コンサルタントを人気職種にする方法
戦略コンサルタントは、現在、有名大学の意識高い系の学生人気NO.1だそうです。
当然ですが、世間の認知度、ステータス、社会的地位も満点です。
「戦略・コンサルタント」響きからして格好がよいです。
「戦略コンサル出身です」って聞いただけで、只者ではない感が漂いますね。
一方、「建設コンサルタント」は、どうも世間一般の認知度、人気、ステータス、社会的地位がいまいちです。
建設コンサルタントで働いている人なら、誰もが経験あると思いますが、中高生時代の同級生や親戚に「何の仕事をしているの?」と聞かれて、「建設コンサルタント」と答えれば「・・・どんな仕事?」と返ってきます。
「建設分野の設計です」と答えれば、「設計はゼネコンがやるんでしょ?」となんて言われてしまいます。
「建築士なの?」と聞かれて「いや技術士です」と答えても「そんな資格あるんだ」と言われてします。
なんていうか「認知度、リスペクト感」共にゼロです。
社会を裏から支えるインフラの専門家集団が建設コンサルタントなのだから、ステータスなどどうでもよい、という考えもありますが、なんだか悔しくないですか?
また、認知度、ステータスがないと、人気もなく業界に優秀な人材が集まりません。
そこで、建設コンサルタントの人気がない理由を、同じコンサルタント業である戦略コンサルタントとの比較から探り、建設コンサルタントを人気職種にする「秘策」を述べたいと思います。
1.戦略コンサルタントが認知度、ステータス・人気が高い理由
まずは、「戦略コンサルタント」が、認知度、ステータス、人気が高い理由を考察してみましょう。
①人材面
戦略コンサルタントは、入社数年内に大部分が退職すると言われており、激務かつハイリスクな就職先ではあります。
しかし、たった数年のキャリアの人材でも転職市場では人気があります。
また、戦略コンサル経験は、将来の起業・ビジネスの修行と捉えることもできるため、将来「お金持ちになる」あるいは「好きなことができる人生」の最短コースとも言えます。
つまり、最も良いキャリアが積める職種であり、学生から人気があります。
入社の競争倍率は高く、有名大学出身の能力に自信があるチャレンジャー気質の人が集まっています。
※参考コラム:「建設コンサルタントが早期リタイアしてのんびり暮らす方法」
一般社会から見ると「超高学歴エリート集団」であり、学歴社会の日本ではステータスも高いものとなるでしょう。
②職務面
戦略コンサルタントの職務は、経営意思決定への様々な支援(調査、提案、計画、助言等)となります。
コンサルタントの仕事は、基本的には裏方です。「わが社は○○コンサルの助言を受けています」と企業が広報することはありません。だから、本来は、一般社会で目立つ存在ではないはずです。
しかし、民-民(BtoB)の仕事であり、建設コンサルタント業界の設計・施工分離の公共事業と比べて、かなり自由度があります。
例えば、提案の実行のためのシステム販売および導入支援や、ハンズオン支援といって、ファンド等の出資者の依頼を受けてスタートアップやベンチャー企業等の取締役になって、直接経営を行うなどです。
なんだかんだでビジネスシーンでのメディアへの露出が結構あります。
③独自の研究開発投資と情報発信
コンサルタント業は、ほぼ人件費だけの産業でもあり、基本的に投資余力は少ないです。
ただし、民民(BtoB)で業務を受注するために、営業をしなければなりません。
業務も、建設コンサルタント業界のように共通仕様や標準契約書、技術基準が整備され、公募に入札する業界ではありません。逆に何の決まりもないのです。
コンサル業の営業は、モノを売るわけではないので、営業マンが売り込みに行くやり方(プッシュ方式)は非効果的です。
受注のためには、顧客を創造し、その顧客から申し込んでもらうプル方式のマーケティング活動が必要です。
そのやり方は、まず研究開発的投資を行い、その成果の情報発信(レポート等)し、セミナー等を開催し、それらの参加者の中から、コンサルを依頼してくれる顧客を育てていくのです。 ※顧客創造ができるのは、戦略コンサルのごく一部の人間です。
そのため戦略コンサル企業が、情報発信で世間の注目を集めることも割とあります。
④戦略コンサルタント出身者の活躍
戦略コンサルタント人気の理由で最大のものは、戦略コンサル出身者の活躍にあると言えるでしょう。
大部分が入社数年内に退職しますが、そのキャリアと超エリートとしての自負から、なんらかの挑戦をする人が多くなります。
まあ、今更、年功序列の日本企業に入ったら、落ちぶれ感というか、元同僚に対して恥ずかしいというのもあるかもしれません。
例としては、起業や、スタートアップへの参画、あるいは、政治家(地方議員に多い)、地域で町おこし等の社会活動をする人、さらにジャーナリストや作家などがあります。
多くが価値創造的な仕事であり、個人のブランディング的に「戦略コンサル出身」を売りとした情報発信も多くなり、結果として「戦略コンサル」の認知度は上がります。
そうした新たな挑戦をし、情報を発信する人達は、皆の憧れでもあり、「俺もそうなりたい」と戦略コンサル業界自体の発展や人気に、つながっています。
2.建設コンサルタントの認知度、人気がない理由
次は、建設コンサルタントの認知度が低く、かつ人気がない理由を整理します。
①人材面
中堅レベル以上の建設コンサルタントであれば、大体が、大学(院卒含む)の建設系の学科出身者を中心に、その他の理系分野も交じる感じです。
大手クラスになると、有名大学院卒がかなりの比率を占めますので、比較的高学歴な業界と言えると思いますが、建設分野に限定されるため目立ちません。
建設系学科の進路の選択として、公務員(技術職)、ゼネコン・メーカー、建設コンサルと三つに大別される中、ややチャレンジャー指向の技術を極めたい人が集まってくる印象ではありますが、将来、独立や大きな挑戦を考えているような人は稀で、いわゆるサラリーマン的安定志向の人がほとんどです。
②職務面(社会の表に出ない)
建設コンサルタント業界は、「コンサルタントは裏方」という傾向が、特に顕著で、社会の表に登場することが少ないです。
具体的には、建設事業は、税金を使う公共事業であることから、公平な執行のために、設計・施工分離の原則があります。
建設事業は、計画や設計は行政が行い、その設計図を基に施工発注し、施工はゼネコンが行う仕組みになっています。
もし、施工者(ゼネコン)が設計もしていたら、施工者が、お手盛りで工事費を増大させることも、その気になれば可能になってしまいます。デザインビルドは特殊ケースのみ有効です。
参考コラム:「デザインビルドの経験」
建設事業の計画~設計までは、行政が行う建前ですが、実際の計画設計は業務として「建設コンサルタント」に発注します。
建設コンサルタントは、施工者等利害関係者とは無関係(技術士の中立性)で、守秘義務を厳守し、顧客の利益を最優先することを求められます。
※発注業務は「委託契約」で、行政の代理人として業務を行うのですから、計画設計は行政がやっている建前は崩れません。
計画、設計というのは、ゼロから頭脳で価値を生み出す仕事であり、創造的な仕事ではありますが、建設コンサルタントは、役人の裏方、代理人であり、建設コンサルタントとして社会の表に出ることはほぼありません。
例えば、建築の場合、設計者(建築士)の名が出る場合はありますが、土木系の事業の場合、実際に設計したコンサルが表に出ることはありません。
社会に知られる機会は、ほぼないです。建設汚職時くらいです。
③研究開発投資・情報発信
建設コンサルタントは大手であっても、投資余力は脆弱です。大手ゼネコンと大手コンサルで比較して、「一人当たりの売上」、「社員数」とも1/10くらいです。
つまり投資余力は、大手ゼネコンの1/100位です。
また、建設コンサルタント業務というのは、共通仕様や、標準契約書、標準歩掛、設計技術基準も整備されており、ビジネスモデル的に、行政の公募→入札→受注→業務実施・成果納品→お金を貰うという、シンプルな構造であり、ちゃんとした技術者さえ揃えれば経営が成立します。
そこに戦略コンサルのような顧客創造やプル方式といった顧客獲得のためのマーケティング活動は必要ありません。
だから、建設コンサルタント経営層には、研究開発投資の概念が、悲しいくらいにありません。
大手コンサルでは、国等の公的研究機関発注した研究系業務や、研究機関への人材出向は、たくさんやっていますが、会社独自の研究開発投資は、ほぼ無いです。
あっても、株主への「やってる」アピールのためじゃないでしょうか?
だから、現状は、建設コンサルタント会社の独自の情報発信もありません。
災害時に、「設計実務知らないだろ」という感じの大学の教授あたりが、いい加減な解説していますが、本来は建設コンサルの人が解説してもよいと思いますが「下手なこと言うと役人に怒られちゃう」から誰もやりません。
建設コンサルの人も、「俺達コンサルなんて、役人の小間使い」と卑下している人も多いですよね。
④建設コンサルタント出身者の活躍
皆さん「元建設コンサルタント」という肩書で、ビジネス界や、起業家、政治・社会活動、作家・ジャーナリスト等で活躍している人を誰か知っていますか?
独立して小さな事業をしたり、下請けで独立したり、それなりの規模の建設コンサルタントまで育てることに成功した人達は、それなりには存在します。
ただ、「建設コンサルタント出身」を売りにして、一般社会の目に触れるような、新たな価値創造と情報発信等に挑戦をしている人は、ごく僅かです。
3.建設コンサルタントの魅力がない理由のまとめ
建設コンサルタントは、建設分野の技術者集団であるにも関わらず、社会の表に出ることも、独自の価値創造や情報発信も、外の世界で新たな挑戦や活躍をする人材も乏しいことが分かります。
同じコンサルタントでも、戦略コンサルと比べて、だいぶ見劣りすることは事実であり、これでは人気が出るはずもありません。
4.建設コンサルタント業界の課題
魅力に欠ける業界の現実を鑑みて、建設コンサル業界がやりがちな対応を予想してみると
・まず「業界全体の課題であり、みんなで力を合わせよう」となり
・協会などで「建設コンサルタントの社会的地位向上委員会」みたいな組織結成
・会社に言われて、しぶしぶ出てきた各社の代表が、適当な意見を出す。
・シンクタン系業務が得意な人が、やっつけ仕事で提言をまとめる。
・その内容は、人材の多様化、研究開発・情報発信の強化、次世代を支える人材の育成などの、見栄えがする総花的でアカデミック感をまとった提言書となる
・「建設コンサルタント○○宣言」みたいな感じで公表
その結果、今までと何も変わらず。何の意味もなしといった感じで終わります。
なぜかって、中堅以上の建設コンサル経営層は、プロパー出世組、天下りOB(役人・銀行・親会社)で、ほとんどがリスクを負ったこともなく年功序列、終身雇用の世界で生きてきた人達です。
さらに、公共事業依存体質で、価値創造や投資的発想の少ない業界の考えることは、一事が万事、親方日の丸、護送船団方式ですので、容易に想像がつきます。
経営意思決定に、主体性と株主利益の観点が感じられません。
経営意思決定層が、高齢かつ出世競争の勝者として「自己評価は高く、君臨して、威張るだけ」といった感じで、優秀な人材が集り、業界に魅力が出てくると思いますか?
企業経営者として株主利益の最大化、「会社の無駄を排除し、高利益企業にして、その利益を、継続的に挑戦・投資的活動に回して、将来の価値・利益を作り出す」こういう活動を継続的にできる意思決定をする必要があります。
こういう産業にこそ、優秀な人材がどんどん集まり、活力と魅力が溢れていくのです。
5.建設コンサルタントの【ビジネスチャンス】と【強み・弱み】
①建設コンサルタントのビジネスチャンス
今後のインフラ分野は、防災と維持管理・更新だけだと考えていませんか?
実は、将来のインフラ分野は、新たな産業として大きなビジネスチャンスに溢れていることに気づいていますか?
社会インフラは、社会構造を支える基盤です。将来の社会構造が大きく変化すれば、社会インフラもそれに合わせて再構築されなければなりません。
現状で在宅勤務が、社会に定着しつつありますが、将来は、勤務地の地理的制約がなくなり、かつ、複数の職業、収入源を持つことが普通になります。
今後20年ほどで、教育や医療分野ですら地理的な制約がなくなっていくでしょう。
居住地選択の制約が減り、人々は、どこでも好きなところに移り住めるようになります。
そうなると、居住地域の快適性(QOL)が最も重要視され、より魅力的な地域には人が集まり活気が出て、そうでない地域は、どんどん寂れていきます。
つまり、地域間の競争、「地域間の魅力」の競争が激しくなるでしょう。
現状の社会資本は、防災や経済インフラのとしての機能とコストの両面を重視して、構築されて来ました。
また、インフラ管理者も国、県、自治体等に分断され、さらに、その組織内でも、縦割りで分割細分化されています。
地域間の魅力を出すためには、魅力について「マーケティング的視点」が必要で、それぞれのインフラを、運用面で統合したり組み合わせたり、再構築して新たな価値を生むような活動により、大きな価値を生み出す余地はかなり残されています。
こうした活動は、行政単独では能力的に難しく、今後、地域が生き残っていくために、「地域の魅力」の開発のため、民間を活用したインフラ再構築が必要になるでしょう。
つまり、民間活用等によるインフラ開発分野においては、大きなビジネスチャンスが放置されています。
②建設コンサルタントの強みと弱み
次に、建設コンサルタントの強みですが、こうしたビジネスチャンスを発見し、ものにするには、多様な専門家が必要になります。
組織内にインフラ分野(都市計画、環境、道路、河川、上下水など)の多数の専門家を揃えた建設コンサルタントは、一番近い位置にいるでしょう。
続いて、建設コンサルタントの弱みですが、こうした、ビジネスチャンスをものにするには、まずは、ニーズを見つけ出し、価値を提供する方法「儲かる仕組み」を作る「マーケティング」的な活動が重要になります。
この部分は、建設コンサルタントにおいて全く「未知の領域」で、弱みでもあります。
※と聞いて、経営企画室に文系出身のマーケティング専門家を中途採用するか、社内でマーケティングセミナー開催などしがちですが、正直、「やってる感」アピール以外、何の意味もないです。
現状の建設コンサルタントは、新たな価値の創造のために、大胆で継続的な投資的意思決定ができる経営者は、ほとんど存在しません。
6.建設コンサルタントが魅力向上のためにまずやること
建設コンサルタントの魅力向上のための、将来目標としては、先に挙げたビジネスチャンス、「地域・国土の魅力を増大するためのインフラ再構築」の分野において活躍する創造的な頭脳集団になることだと思います。
また、「創造的な頭脳集団」であるためには、まず「創造的個人」である必要があり、自由に生きて、次々に挑戦する人材である必要があります。
これが実現できれば、結果として、社会的な認知やステータスを高まっていくでしょうし、能力のある人材が目指す業界になるでしょう。
しかし、現在の業界では、結局、目標実現を唱えて、総花的、一般論な対策をして「やってる感」を出すだけに終始することになるでしょう。
結局のところ、年功序列の終身雇用を堅持し、継続的な投資的意思決定もできなければ、組織の外で挑戦する人も少ない現状の根本原因は、業界内に経営マネジメントと技術の両方の専門家がいないためです。
それぞれの技術の専門家として、小さくまとまって、社内が「やらない理由を探す人々」が多数派では、何も達成できないでしょう。
※参考コラム:「やらない理由を探す人々の研究」
建設コンサルタントとして、まずやるべきことは、社内に建設技術と経営の専門家レベルの人材を多数揃えることです。
まずは、ここをクリアしないと、何も進みません。
7.もし、建設技術と経営の専門家を多数揃えた建設コンサルが出現したら
仮に、1,000人の総合建設コンサルタントが、技術士合格後のセカンドキャリアとして、中小企業診断士やMBAを推奨し、本気で、継続的に支援すれば、10年後くらいには、組織内に100人近くの経営と技術の専門家を抱えることは十分可能性があります。
技術士500人、中小企業診断士・MBA100人、そんな企業が誕生した場合です。
もし、そのレベルが実現できたとした場合、何が起こるでしょうか?
①受注面での効果
技術士500人、中小企業診断士・MBA100人という感じで、資格者を揃えただけでも、まずは、国交省および所管の研究機関等からの建設マネジメント系の業務、地域開発系の業務、経済絡みの調査等においては、受注増が狙えます。
プロポーザルで、組織メンバーを技術士と中小企業診断士・MBA等のダブルホルダーで揃えてきたら、さすがにインパクトあります。
もし、これらの資格が入札の参加要件や加点項目になれば、独り勝ちもあり得ます。
次に、経済産業省系の、シンクタンク系の業務(都市・インフラ絡み)の業務や、外務省のODA系の海外開発コンサル分野でも、通常のシンクタンク等に比べて、競争力を持てる可能性があります。
農林水産分野も、森林土木、水産土木や農業土木分野のマネジメント絡みでも競争力が出るでしょう。
今後、地域間競争の激化に伴って、都道府県や自治体レベルで、インフラマネジメント系の業務が増えると思いますが、この部分でもかなりの競争力を持てるでしょう。
上記のこれら、全部プロポーザルになるので、かなり勝率が上がるはずです。
※また上記の業務経験の蓄積は、次のビジネスを探すアンテナとなるでしょう。
②経営面での効果
技術士と中小企業診断士・MBA等のダブルホルダーが、社内に100人という状況になった場合、それらの人は、社内のエースだったり、組織上層部にもかなりの比率を占めるでしょうし、「経営研究会」のような自発的な横のつながりが生まれてきます。
※某有名企業では「社内診断士会」などがあり、ボランティア活動として、経営企画や、社内部署や関連会社・取引業者向けの経営コンサルをやっているそうです。
つまり、組織内で、かなりのパワーを持ちます。
さすがに、経営の専門家クラスが社内で多数派になれば、「やらない理由を探す人々」を説き伏せて、経営が洗練されていくはずで企業利益・働きやすさともに大幅にアップすると思います。
また、増加した企業の利益を研究開発投資的な活動に、継続的に投入する経営意思決定もできるでしょう。
結果として、建設コンサルタント発の、新たなビジネスや、価値創造が発信されるようになります。
③外部で活躍する人材の出現
中小企業診断士業界では、診断士会などのコミュニティが活発であり、資格取得後は、様々な分野の、独立して活動しているプロのコンサルタントや、企業経営者と直接関わる機会が増えます。
外で思うがままに挑戦している人の世界を知ってしまいます。
そうなると、建設コンサルタントの30代、40代の中から覚醒し、ビジネスチャンス等を見つけて、外の世界に飛び出して挑戦する人も、それなりに出てくると思います。
気力体力溢れるエース級が、突然、中途退職する事態が発生するわけです。
その時、「裏切りもの」などと石もて追うのではなく、むしろ支援し、社外ネットワークを構築し、良好な関係を維持するべきでしょう。
一度、そうなった人は、社内で飼いならすことは不可能です。
挑戦の例としては、独立したコンサルタントとして活動する人、自分で事業を始める人、社会起業であれば、街づくり会社(TMOなど)、地域おこしなど、あるいは、政治家や、大学教授になるような人もいるでしょう。
いずれ、その人達の中から成功者も現れてくるでしょう。
8.まとめ
現代の「新卒の最優秀層」の就職先選定において一番重視していることは「どこでも食べていけるスキル」が身につくかどうかです。
もし、以下の建設コンサルタントが一社出現したとして
・建設技術と経営の専門家(技術士、中小企業診断士)になれるキャリア育成制度があり
・現実に、内部に技術士、中小企業診断士・MBAを多数抱え
・先進的な経営や、価値創造と情報発信を行っており
・外部で活躍する「その会社出身者等の有名人」の存在が目立つ
そんな会社があったとします。
必然的に、優秀な人材は、その会社に集中します。
すると、その会社は、さらに他社とは異次元のパワーと認知度を強めていくでしょう。
そうなると、他社も同様の追随をしなければならないでしょう。そうした企業経営が当たり前になれば、建設コンサル業界は、魅力的な業界として、優秀な人材も集まり、さらに発展していくはずです。
おわりに
個人的には、他業種に比して、建設コンサルタントの技術者は、コンサル業務で鍛えられており、能力値の高い人が多いと思っています。
実際に、中堅以上クラスで、上記を実現できる能力のある会社は、相当数、存在すると思います。
しかし、このコラムを読んだ人の8割の感想は「生意気な!」と憤慨するか、「無理無理」となり、何もしないと予測しています。
やらない理由を見つけるのは、実に簡単なことです。
もし、あなたが「なるほど」と思えた2割の人材であるならば、今すぐに、自分で勉強を始めましょう。会社に頼らず、自分だけでも成し遂げる覚悟を持ちましょう。
最低3年はかけて長期的に動く覚悟があれば、必ず実現できます。
それが主体的に動くということです。
参考コラム:「20代の技術士合格者が増えている件【建設コンサルタントの将来像とは】」
「建設コンサルタントが中小企業診断士を取得したらどうなる?【技術士の次は】」
もし、賢明な企業経営層の人でしたら、やらない理由を探す人々を説得して、他社に先駆けて、まずは自社で始めてください。
協会や他社との連携などに頼ってはいけません。
達成できれば、自社の大きな発展が、必ず起こるはずです。
ご参考になれば幸いです。
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