転職先は退職するまで秘密にしておこう(建設コンサルタントの転職)

建設コンサルタント業界の場合、担当技術者が業務途中で投げ出すわけにいかないので、実際の転職時期は年度明けに集中する傾向があります。
さらに、残務の引継ぎ等を考えると、辞表を出してから実際に退職するまでに何か月か期間を要するのが普通です。

 退職の意思を伝える時、「もう次の会社に○月入社が決まっています」と伝える方が、引き留め交渉が少なく、スムーズに辞めやすい傾向はあります。

 しかし「次の会社が決まっています」と伝えた場合、必ず会社名を聞いてきます。
また、辞表を出したことは秘密にしたとしても、必ず社内に洩れ伝わります。一週間くらいでみんな知っているでしょう。
そして、同僚らはどこにどんな条件で転職するのか聞きたがります。

 ここで、転職先を教えるとどういうことが起こるか、「あそこはいい会社だぞ~」「新しい転職先で頑張れよ」とは決してなりません。

様々な良くない情報を吹き込んできます。
「あそこはうちよりずっと厳しいぞ」、「あそこは評判よくないよ」、「知り合いがいるけど、パワハラがひどいらしいよ」、「どこに行っても同じだよ」、「絶対後悔するぞ」的なネガティブな情報を吹き込んできます。
建設コンサルタント業界は狭いので、知人に聞いたとか、さも信ぴょう性のある話にしてきます。

 もし、転職先が大手だったり年収等が好条件であった場合も、妬みからより激しくなるでしょう。

 ネガティブな情報を吹き込む人は、一見親身なように見えて、転職など新たな挑戦をしようとする人を不安にして楽しんでいるのです。
人間不信になるくらいです。

 逆にこれまでたいして話したことがない人で、急に親しくなろうとする人もいます。
こういう人は、自分も転職するか迷っている可能性が高く、連鎖退職を引き起こす可能性があるので、相手にする時は注意が必要です。

 また、人材紹介業等使わず就職活動した場合は、社長同士が知り合いで、転職先にクレームを入れたりすることもあり、転職先がトラブルを恐れて、入社取り消しになる可能性もあります。

 そのため、とにかく、どれほど仲の良い同僚に「誰にも言わないから俺にだけ教えてくれ」と言われても、転職先は、辞めるその日まで明かさないことが吉です。

 私自身の経験では、「次を決めないで退職」、「大手建設コンサル転職」、「独立」と3パターンを経験していますが、どのパターンも否定的な情報を吹き込んでくる人が多数でしたので、どういう転職をしても、否定的な情報を吹き込んでくるものと思ってください。

 当社の紹介ケースでも、内定応諾し退職手続きを進めたものの、同様の不安材料を吹き込まれて、腰砕けになりドタキャンするケースが稀にあります。

 各会社の悪評ですが、大部分の建設コンサルタント会社は、10年以上続いた建設不況時代に、社員数を半分くらいに減少しながら、生き残ってきているので、どこの会社にも恨みをもって辞めた人達がたくさんいて、なんらかの悪評があるものです。

入社直前のドタキャンだけは本当に困ります。
内定を出した企業は、他の人材が来ても採用を断っていた可能性があり、多大な機会損失を受ける可能性があります。

 では、こうして思いとどまった人が、その後どうなるかというと、社内で碌なことはありません。「裏切り者」のレッテルで、かえって居づらくなります。
結局数年後に、やっぱり辞めたいけど、まだあの求人ありますか? と聞いてくる人もいます。

 数年早く新展開をスタートしていれば、今頃はずっと良かったと思うのですが、数年も無駄にしてしまったことになります。
余計な情報に振り回されないためにも、転職先は伝えない方がよいでしょう。

転職というのは不安や批判が伴いますが、こうした不安に負けず決断し主体的に行動することが、人生勉強の一大イベントだと思っています。

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