業務から逃げる達人達の思い出


    中堅レベル以上の規模の日本企業であれば、大体どの会社でも、仕事から逃げ回りのらりくらりと暮らしている人達が一定数存在します。

     最近は「働かないオジサン」などいうワードがあるくらいで、一説には国内500万人もいるそうです。

     こうした人達ですが、若手の時代は、働き者で評価が高かったりします。

     しかし、多くが指示待ちタイプで、30代に入り、一人で業務を回すようになった途端に、実力が露呈し始めます。

     さらに30代になると出世コースに乗れないことが明確化になり、自分の将来が見えて始め、そこに、体力低下も重なりモチベーションが低下します。

    しかも、年功序列的組織で、適当にやっていてもエース級とそれほどの報酬差があるわけでもありません。

    そして徐々に古参兵のように、要領を覚えて立ち回るようになります。

     単純に言えば、「燃え尽き」と「諦め」で、「不貞腐れ」ている状態です。

    だから、開き直って、のらりくらりと逃げ回って生きるようになります。

     

    ただ、建設コンサルタント会社は、大体がノルマ数値等もあり、次々と業務も入ってくる中で、業務から逃げ回るのは、なかなかの難易度があります。

     

    そこで、「業務から逃げる奥義を極めた達人達」も誕生するわけです。

    過去に多くの魅力的な、逃げの達人に囲まれていたので、その奥義の一部をここで公開したいと思います。

    ※決して悪用してはいけません。

    ①忙しいふりをする

    いくら仕事が楽だからといって、のんびりしていると、新しい業務を入れられてしまいます。

    それを避けるために、常に仕事が忙しいふりをして、周囲にアピールする必要があります。

    決して、みんなより先に帰ってはいけません。

    会社に遅くまで残って深夜残業や徹夜を自慢しましょう。

    過去に、会社に泊まって夜10時に寝袋で就寝する猛者もいました。

    それで「もう家に三日も帰っていません」とアピールをしますが、確かに嘘じゃないです。

    飲み会には必ず遅れて参加し、常に「忙しい」を口癖としましょう。

    見えないところではさぼって、上司の前では、大声で客先と電話したり、パソコンをぱちぱちやる必要があります。

     これをやれば、新規業務が投入されにくくなります。

    ②どれだけ大変な業務か、吹聴する(発注者のせいにする)

    忙しいふりをしていても、個人の売上や利益の数値管理が明確な会社であれば、働いていないことがバレてしまいます。

     この手の人は、そのいい加減な仕事観から、発注者からのクレームやトラブルが頻繁に起こります。

     そこで、そのトラブルを逆に社内的に利用するのです。

     まず、発注者をモンスターカスタマーと決めつけ、「ひどい発注者に振り回されている」如何に面倒くさい業務かを周りに吹聴します。

     例えば、金曜日の夕方に「月曜日の朝までに検討結果を持ってこい」と言われたなど大騒ぎします。

     確率的に、担当する業務がパワハラ発注者ばかりになるのは、あり得ないとは思いつつも、周囲は、その手の業務に関わりたくないので、黙認します。

    そこで「割に合わない業務ばかり押し付けられている」、「有能なのに不遇な俺」的な立ち位置を確立し、業務成績が悪いのに、並レベルの評価を獲得するのです。

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    ③馬鹿なふりをする

    そうやって逃げ回っても、時には大きくて難しい業務を投入されそうになることがあります。

    その時は、「俺、こういう業務をやったことないから、分からない」「俺には無理」、「この分野が得意な○○がやるべき」などと、正直に、無能で馬鹿っぽさをアピールします。

    そうすると上司は、不安になり業務を投入できません。

    無事逃げ切れば、何事もなかったかのように「有能なのに不遇な俺」的な立ち位置に戻ります。

    ④オフサイドトラップ

     それでも、難しい業務の担当になってしまうこともあります。

     その場合、馬鹿っぽく振る舞いながら「一人で無理だから誰か下に付けてくれ」と要求します。

     大体が、後輩の若手が応援につくことになります。

     初回打ち合わせは、後輩を連れていき、顧客に後輩が担当者のように紹介します。

     そして、その後、何もしません。

     後輩が心配になって尋ねると「俺忙しいから、やって」と頼んできます。

     顧客から電話がかかってくると「担当に変わります」と言って、後輩に繋ぎます。

     そして、本人は「俺関係ない」的な態度を取りつづけます。

     後輩は気が付けば、顧客と一対一となり、オフサイドトラップと呼ばれていました。

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    ⑤他人に押し付ける

     時には、一人で業務を担当させられることもあります。

    そういう時は、親切で有能な後輩に「ちょっとここ教えてくれ」などと、やたらと質問をします。

    善意で対応すると、さらに「手伝ってくれ」などとエスカレートしだします。

    その内「上手く説明できるか不安だから、打ち合わせに付いてきて」と言い出します。

     打ち合わせに同行すると、逃げの達人は、発注者から質問に、下を向いてダンマリを決め込み、まるで他人事のような態度を取ります。

     同行した後輩は、顧客の不信感と沈黙に耐えられず、つい、客先の質問に答えてしまいます。

     そうなると、発注者は、同行した後輩だけを相手にするようになります。

     そして、ちょっと手伝ったつもりが、いつの間にか担当者になっているのです。

    ⑥投げ出す

    逃げに失敗して難しい業務を担当し、さらに後輩に押し付ける作戦も失敗すると、大体が、本格的な発注者とのトラブルに発展します。

     そうなると最後の手段「投げ出し」です。

     まずは、周りに発注者のパワハラがひどいことをアピールしつつも、「もう限界」的な雰囲気を作ります。

     そのうち、営業部や会社の上層部に発注者から正式なクレームが入ります。

     そうなると、社内的に問題になり、部長は、代わりに有能な人材を業務に投入します。

     有能な人材が入ると、メチャクチャな業務を、実質ゼロから全部やり直し、ちゃんと仕上げます。そこで、発注者の機嫌もだいぶ良くなります。

     ところが、投げ出した張本人は、「もう終わりかけていたのに」、「あいつが入らなくても出来た」的な言動をします。まるで「手柄を横から奪われた」とでも言うような態度です。

     あるいは、「元々、あいつがやるべき業務だったのに俺に押し付けた」的な被害者意識を見せたりします。

     参考コラム:敗戦処理は感謝されない

     どうですか、上記の①~⑥を波状的に繰り出しつつも、同じような仲間と徒党を組めば、

    拘束時間こそ長いものの、仕事は楽で、それなりに評価もして貰えます。

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    おわりに

     建設コンサルタント時代は、ノルマの何倍も稼ぎながらも、さらに業務を押し付けられたり、上の命令で、顧客トラブルの敗戦処理などかなりやりましたが、感謝もされず、却って恨まれるは、会社から評価されるどころか、処理コストで文句を言われたりしたものです。

     それで、逃げ回っている人の方が、給与がずっと多いのですから、当時は、実に馬鹿らしい感じがしたものです。

     ※その辺が、経営の勉強への気持ちが目覚めたきっかけでもあります。

     さて、こうした「逃げ回りの達人」ですが、社内では「名物おじさん」みたいな扱いで、

    周りから愛される人が多かったように思います。

     ただ、「また○○さんがやらかした」的な感じで、周囲からの尊敬や承認は全くないです。

     それでも会社に依存し、夢も希望もなく、刹那的な生き方をしており、ご本人の幸福度は低そうでした。

     

     これは、ご本人の自己責任だけとは言い切れません。

     ラインに乗るか、乗れないか、能力的には大した差はなく、紙一重で誰でも、そうなる危険はあります。

     

    根本は、こうした人を組織内に生み出す仕組み、雇用制度にあると思います。

    また、本来、国がやるべき社会保障を、押し付けられる日本企業は、両手両足におもりを付けて、思い荷物を背負って戦わされているようなものですね。

     この逃げ回り戦略ですが、新卒入社組にしかできないやり方ですし、今後の社会では、逃げ切りの成功の可能性は少ないです。

     

     まずは、会社依存的な、他力本願的な発想は捨てましょう。

     これからは、最高に効率よく、品質のよい仕事をして早く帰る生き方をしましょう。

     それで、文句を言われたら転職すればよいだけです。

     ご参考になれば幸いです。

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