建設コンサルタントの転職キャリアとは【医師、弁護士、会計士との比較】

一般的に、高度な専門職というと、三大難関資格でもある医師や弁護士、会計士などが該当し、高いステータスを誇っています。

一方、建設コンサルタントは、建設分野の技術のプロとして、計画や設計を行う仕事です。

また、建設コンサルタントを開業するにも受注するにも「技術士」が必要です。

つまり、建設コンサルタントは、技術士による独占業務あり、実際に海外では、かなりの認知度、ステータスなのですが、日本では、「」、「技術士」というのは、悲しいことに社会的な認知度がほとんどなく、当然ですが社会的ステータスもありません。

だから、医師や弁護士が主人公のテレビドラマや映画は、たくさんあるのに、建設コンサルが主人公のものってないですね。

※一度、見てみたいものですが

そのため、建設コンサルタントに入社する人も、普通のサラリーマンとして、新卒入社し、先輩・上司の下、OJTで育ててもらい、一生をその会社で過ごすような意識で入ってくる人がほとんどです。

 キャリアプランとして、将来的な転職を考えている人は少数派です。そこで、一般的な社会常識通りに、就職先は、寄らば大樹の陰と、安定と福利厚生を重視し、なるべく大きな企業、特に上場企業に入社したがる傾向があります。

果たして、社会的な認知度、知名度こそ低いものの、高度な専門職のはずである建設コンサルタントが、普通のサラリーマン的発想でよいのでしょうか?

以下に、建設コンサルタントの就職先選びと転職によるキャリアの積み方を考察したいと思います。

他の高度な専門職種(医師、弁護士、会計士)のキャリア

建設コンサルタントの転職キャリアの参考とするために、他の高度な専門職のキャリアを考察してみます。

【医師の場合】

医師のキャリアは、医学部を卒業すると大学病院等の研修医としてスタートし、臨床経験を積み、正式に医師になり、いくつかの病院を経験し、最終的には、専門医としてどこかの勤務医、開業医、あるいは研究職など、自分の適性と希望に合わせて選択していくようなキャリアが一般的だと思います。

医師の場合、その範囲は医療業界に限定はされますが、選択肢も自由度も高く、また、やり直しが利きます。

現段階で、医師で食えないという人はほぼいません。

場合によっては、残業、夜勤等もなく、ワーク&ライフバランスを達成しながら、高収入も同時に達成することも可能です。

 何浪してでも、あるいは数千万円の入学金や学費を払ってでも医学部を目指す人が多いのも分かります。 

【弁護士の場合】

弁護士の場合、法科大学院等を出て司法試験に合格し、研修後、検事、裁判官、弁護士の三者を選択します。

 ※平均合格年齢は28歳程度

 弁護士の場合、理想的には、キャリアのスタートは、大手系の法律事務所に入社し、実績を積み、その後、独立や、高額報酬のあるような転職を行います。

 近年のМ&Aブームで、外資系の大型買収案件等に関与できれば、びっくりするような報酬を得られる場合もあるようです。

 一方で、弁護士になったものの、キャリアになる就職先が見つからないケースもあるようです。

また、独立もかなり厳しいものがあります。

 日本は訴訟社会ではない上に、他の法務業務に細分化された資格がたくさんあります。行政書士、社会保険労務士、司法書士などです。訴訟以外で、弁護士じゃないとできない業務は少ないのではないでしょうか?

 そこで、弁護士になったものの、食えない、あるいは廃業する人も結構いるようです。

 ※資格の維持費用がかなり掛かる。

 中には、一流企業に勤めていたのに、30代で一念発起して、退職し、何百万もかけて法科大学院にいき、弁護士になったものの、そうした状況に陥る悲劇もあるようです。

 明暗の大きな業界と言えるでしょう。

【公認会計士の場合】

公認会計士の場合、大部分が学生時代から勉強を開始します。平均合格年齢は25歳程度です。※学生時代に合格する人も多いです。

正式に公認会計士になるためには試験合格後、実務経験や実務補修が必要で、最終的には「終了考査」を合格する必要があります。

試験合格者は、8割くらいがビック4などと呼ばれる大手の監査法人に就職します。

大手監査法人は、毎年、数百人規模、全従業員の10%近くにもなる新人を採用しています。このことからも分かるように、その内、5年で半分、10年以内に大部分の人が中途退職していくようです。

採用側も、明らかに大量採用、大量離職を前提に採用しているはずです。優秀な人だけ残ればよいと考えです。

もう一つ、どれほど高度な専門職であっても、実は難易度が低い仕事がかなりの比率を占めます。知り合いの会計士から、監査業務は「監査マニュアル」に沿ってやれば誰でもできる という話を聞いた事があります。

だから人件費の安い新人を大量に採用した方が、経営コスト的にメリットになるそうです。

さて、大手監査法人を中途退職した人達ですが、その後は、経営コンサルタントや中小監査法人などの特化型、税理士事務所等の地域密着路線、事業会社の経理部門への転職(安定志向)、スタートアップ・ベンチャー企業等(一攫千金狙い)への転職などがあります。

やはり会計士は、「企業のお金周りの専門家」であり、どの企業からも必要とされる能力でもあることから、才覚次第で、かなり有利な人生を過ごせるでしょう。

建設コンサルタントと他の高度な専門職とのキャリアの対比

上記に挙げた、高度な専門職(医師、弁護士、会計士)のキャリアの共通点と、建設コンサルタントを対比すると

【高度な専門職(医師、弁護士、会計士)キャリアの共通点】

  • 学生時代から資格勉強を始め、20代の早い内に試験に合格する
  • 超難関資格試験合格が入社の条件、まずは大きな組織に入り修行を積む

   ※医師の場合は、医学部卒業

  • 30代くらいまでに多くの人は転職する 流動性が高い
  • 独立・開業する人も多い
  • 組織に残った人、役職のある人が、必ずしも成功者ではない

【建設コンサルタントのキャリア】

  • 入社時、資格は必要とされない
  • 各部署に配属され、OJTで専門分野の修行を積む
  • 早くて30代で技術士を取得する(一般に修行10年以上)
  • 多くの人は、一生同じ会社で働く(一般よりは流動性は高いが)
  • 会社に残って出世した人が、成功者とされる風潮

端的に言えば、両者のキャリアの違いは

高度な専門職(医師、弁護士、会計士)プロ志向 自分の人生は自分で拓く
建設コンサルタントサラリーマン的志向 会社に依存して生きる

と言えるでしょう。

なぜ建設コンサルタントはサラリーマン的志向が多いのか

実は、建設コンサルタントで建設の専門技術を極め、実績と技術士があれば、他の高度な専門職と遜色のない転職、独立などの選択肢があり、自由な生き方もできます。

実際に海外の建設エンジニアは、高度な専門職的な生き方をしています。

ところが、そうした自由な生き方を選択する人は少数派で、なぜ日本の建設コンサルタントが安定ばかりを求めるサラリーマン的志向になってしまうのか、その理由として

  • そもそも建設コンサルタントで「自由な生き方ができる」と認知している人は少ない
  • 建設コンサルタント新卒入社時に資格は求められないため、新卒にプロ意識が低い人も交じってしまう
  • 建設コンサルでプロレベル、技術士も取得するには10年以上必要
  • 入社10年もすれば、独立志向や挑戦的な少数派の人材も、「組織の倫理」に染まり、リスクを過大評価し安定志向になり挑戦心を失ってしまう

といった感じになります。

建設コンサルタントの転職の重要性

医師、弁護士、会計士などの高度な専門職と比べて圧倒的に、サラリーマン的志向の多い建設コンサルタントですが、建設コンサルタントのキャリアに転職は不可欠です。その理由は、端的には「いろいろ経験しないと適性は分からないから」です。

建設コンサルタントに就職時の、将来の理想的な到達点として、例えば

  • 専門を深く極めて、、専門コンサルで活躍
  • 技術の対応幅を広げて地域・顧客密着型の活躍
  • マネジメント能力を高めて超大型業務の管理者や、組織管理者
  • 独立して気ままな生活、あるいは経営者への道
  • 行政やゼネコン等への転身
  • 海外での活躍

などなど、いろいろ考えられます。

 しかし、実際に経験してみないと、自分の適性は分かりません

入社時に、とりあえず目標設定していても、人生はいろいろなことが起こりますし、運・不運も左右します。さらに、年月と共に価値観も変化していきます。

 だから、一つの組織に所属したまま、硬直的な到達目標を目指すことは、苦悩も大きく、後々で後悔する可能性が高いです。

いろいろ経験した上で、自身の適性に一番合った生き方を、自分の意思で選択できれば、後悔も少なく、満足度も高くなるはずです。

 だから、入社時の目標レベルは、「何らかの分野を極め、建設技術のプロとなり、技術士も取得する」程度で十分で、そこから転職など挑戦を繰り返し、経験を積みつつ、ご自身の理想形を明確化していくやり方がよいでしょう。

 いろいろ経験を積むことに対して、「わが社は、ジョブ・ローテーションや出向、転勤など、経験幅を広げる制度があり、転職の必要はない」と考える人もいると思います。

でも、それは本当の「経験」ではありません。結局、一つの組織に依存している事実は変わりません。

一つの組織に所属しながら、本当の意味で、いろいろ経験することは不可能です。

 他の高度な専門職(医師、弁護士、会計士)のキャリアからも分かる通り、一つの組織に在籍し続ける人は稀であり、また在籍し続けた人が成功者ではありません。

 彼らはプロフェッショナルであり、組織に依存した存在ではありません。自身のキャリア達成、人生の理想形に向けて、自分で自分の人生を切り拓いていきます。

 つまり、自分でリスクを負って転職や独立など、いろいろ挑戦し、失敗もしながら、理想形に近づいていくのです。

 悲しいことに、建設コンサルタント業界では、そうした志向は少数派です。

 大企業で新卒から定年まで過ごして出世した人が「成功者」とされています。

 しかし、こうした時代も終わりつつあるようです。皆さん、よくよく考えた方がよいでしょう。

 参考コラム:「建設コンサルタントが早期リタイアしてのんびり暮らす方法

建設コンサルタントの転職キャリアの理想例

①大企業志向の是非

他の高度な専門職(医者、弁護士、会計士)のキャリアでは、新人は、まずは大きな組織に所属し、経験・修行を積み、その後、それぞれの道へ分散していくような形が主流になります。

 建設コンサルタントにおいても、新卒に関して言えば、まずは大企業に入社し修行するというのは、理があると思います。

 また、大企業信仰の強い日本において、大企業での経験があることは、「大手経験者」という意味で箔が付きます。

 そこで、大企業で5年から10年は修行し、技術士と、専門技術を身に着けて、転職や独立等の次の挑戦に移るというのが、新卒の理想的なパターンと言えるでしょう。

②多様性のある建設コンサルタントの転職キャリア

「俺は中小にしか行けなかったから」などと嘆く必要はありません。

 建設コンサルタント業界は、他の高度な専門職と比べて、キャリア構築ルートには多様性があります。

 理想的なキャリアの形というのは、業務対応力(幅)と専門性(深さ)のバランスが重要になります。

 大企業は、専門で細分化されており、専門性(深さ)を高めるキャリアは積みやすいですが、技術の幅を身に着けるには不向きなことも多いです。

 尖った技術しかない人は、需要が少なく、転職市場ではあまり評価されない場合もあります。

 そのため、キャリアのスタートが中小コンサルであっても、まず業務対応力の幅を身に着ける戦略であれば、それが正解です。

その後、技術士を取得し、大手に転職することも、独立することもできます。

 つまり、「何らかの分野を極め、建設技術のプロとなり、技術士も取得する」という目的は、建設コンサルであれば、どの状態からも始めることができます。

 他の高度な専門職は、若年時に資格取得をしないと、キャリアが厳しいですが、建設コンサルタントは、入社時に資格は必要がなく、年齢的な制約も受けにくい上に、やり方に多様性があるということは、本人の意思さえあれば、成功確率が高いということです。

 環境的には、恵まれています。

建設コンサルタントの採用事情

建設コンサル業界は、建設不況時代以降、各社採用に苦労していました。

現状の市場見通しは、将来的に、これ以上の市場の縮小は考えられず、少子高齢化による技術者減で、業界は需要過多、好景気な状況にあります。

コンサルタント技術者さえ確保できれば、仕事はたくさんあります。

そこで、新卒採用、中途採用に各社力を入れていますが、なかなか結果が出ない状況が続いてきています。

しかし、最近、建設コンサルタント業界において特筆すべき変化が現れています。

 端的に言えば、コンサル人気です。

 官僚希望者の激減が話題になっていますが、実際に当社でも、行政、公務員からの建設コンサルタントへの転職希望が急増しております。

 ※参考コラム:公務員からの転職希望者が増えている件(異変)

自治体等の土木職等においては、人員が確保できず、一般職の文系の人間を異動で回しているようなところももあるようです。大丈夫か?

将来の年功序列・終身雇用も当てにならず、つぶしの利く、「自分で稼ぐ力」を身に着けたい志向の表れですが、こうした「コンサル人気」にあやかって、建設関連学科の新卒学生から建設コンサル業界も人気が出始めているようです。

※当社コラムの影響も、結構あるような気もしています。

 新卒の建設コンサル人気と聞いて、「ちょっと待て、うちは全然、新卒採用できないぞ!」とツッコミを入れている人がいるかもしれません。

 そうです。悲しいかな、やはり日本人、サラリーマン的、安定志向が抜けません。だから、みんな大手に行きたがります。

 そうした流れを受けてか、最近、最大手クラスが、大量の新卒採用を始めています。

 場合によっては全従業員数の10%近くにもなります。

 新卒大量採用の目論見ですが、

現状、需要過多の時代、大手クラスはかなりの利益を出しています。

 建設不況時代は、老舗中堅コンサルが経営破綻で「ただ同然」で買えた時代があり、一部の先見的経営者がМ&Aにより一気に事業規模を拡大し、新参大手として、活躍しています。

 そうした動きに出遅れた他の大手ですが、正直、もうМ&Aでおいしい話はそうそうありません。

 建設不況時代の経験から、大量採用には警戒心が強いものの、投資余力の先として、地道な経営拡大戦略としての新卒大量採用を採用する企業が増えてきたことが挙げられます。

行政の人員不足等から分かる通り、今後、PPPや発注者支援系の行政出向、人材派遣的な分野も拡大します。

そこで、多くの企業がこの分野に力を入れ始めています。

そうした意味で、技術者を囲い込む意図もあるように思えます。

注意点:大手コンサルに入社する人へ

上記に述べた通り、建設業界でもコンサル人気の動きがあり、さらに大手コンサルで新卒大量採用の傾向が見られてきました。

 そこで、大手コンサルコンサルタントに入社する人に、注意点を述べようと思います。

 大量採用の企業側の意図として、大量採用・大量離職を前提としているはずです。

 また、中小企業の人材獲得難の状況からみて、本社採用として大量採用しておいて、関連会社等に出向・転籍されたり、人材派遣的な人員として使われる可能性があります。

 当然ですが、大量採用なのだから、同期同士の競争も激しいです。

 プロ意識を持たず、サラリーマン的志向で、一生養ってもらうつもりで入社すると、使いっ走り的な動きだけして、10年後に何のキャリアもない状態になる恐れもあります。

 もう採用側は、将来、成果給、人材流動性の高い社会になることを計算に入れて行動しているのです。

 大手コンサルに入社する人は、会社に育ててもらう意識は捨てて、自力で5年で確実に特定分野の技術をマスターする覚悟が必要です。

 参考コラム:建設コンサルタントが5年で一人前になる方法

 また、自分のキャリアチェンジ、あらたな挑戦や転職をすべき時ですが、大きな不満がないからと、決断を先延ばし現状維持を続けると、状況はますます悪化していきます。

 安定やステータス志向は捨てて、早めに人生の決断をしましょう。

おわりに

他の高度な専門職と比べて、建設コンサルタントは、将来の社会構造を考える仕事であり、ゼロから価値を創造する仕事です。

 他の高度な専門職は、社会的意義のある仕事ではありますが、「価値創造」という意味では、建設コンサルタントの仕事の魅力は大きいと思います。

 「創造性の高い仕事をするサラリーマン」って言葉自体がなんだか矛盾している現状ですが、建設分野のエンジニア・技術士が、将来、医師、弁護士、会計士などのように、プロとして、自分でリスクを負って、挑戦し、自由に暮らせる社会が来れば、日本の建設業界も盛り上がるのではないかと期待しています。

 たった一度の人生です。 皆さん、行動しましょう。








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