私は経営コンサルタントとしても活動していることもあり、50代60代の元大手ゼネコンやメーカーの人とも知り合う機会が多いのですが、そこでは、「日本の建設コンサルタントはレベルが低い!」、「建設コンサルタントの奴はバカしかいない」とボロクソに公言している人に何人か遭遇したことがあります。

 ある時「建設コンサルの奴はバカしかいない」と言っていたおじさんが、私に建設コンサルタント会社の仕事はないか聞いてきました。
 ※求職登録者ではなく、業者会合等での雑談レベルです。

 その方は、技術士は持っていたものの、非常に狭い分野の専門家で、土木分野全般の知識はほぼ無い人でした。
 それでも可能性は当たってみたいと思い、その人の技術士の専門科目に沿った分野で質問してみました。
 「○○がご専門なので○○の設計はできますか?」→「できません、」
 「じゃあ、何か設計、検討等できることはありますが?」→「できません」「ずっと開発をやっていたので、設計も検討もしたことないです」
 「設計できないにしても、技術的な指導や、照査ができますか?」→「できません」
 
 「じゃあ建設コンサルタントで何ができますか?」→「建設コンサルタントの経営ができます」、「よい部長になれます」、「建コン協の○○会長とは知り合いです!」
 ときて、頭を抱えてしまいます。
 何を根拠に「建設コンサルタントにはバカしかいない」と言っているのか?
逆に大手建設コンサルタント出身の60代で、「ゼネコンで、よい部長になれます」という人は見たことありません。

他にも似たような話をいくつも経験しているのですが、彼らの自己評価の高さには驚かされます。新卒から年功序列の大企業で定年まで過ごしてしまうと、自己と会社が一体化してしまうようで、それが退職後でも続いてしまう人もいます。
 
 一方で、当社紹介ケースでは、40代、大手ゼネコン勤務で、設計部等での土木設計分野の経験も多く、技術士も保有しているような人もいらっしゃいます。
 単身赴任が長く、ご家族と過ごしたいという人や、仕様決定段階である計画、設計等の建設コンサル分野で活動してみたいという動機が多いです。
 人柄も、謙虚で、実務能力もとても高そうです。数年あれば確実に活躍できると思いました。
 実際に当社紹介で中堅レベルの建設コンサルタントに採用が決まり、条件的にもご本人の希望以上のレベルを確保できました。
 いろいろな人がいるものです。
 
 欧米等の建設産業については、過去に国交省所管の研究機関で研究していたこともあり、普通の人より詳しいと思いますので、「日本の建設コンサルタントはレベルが低いのか」で述べさせていただきますが
日本の建設産業は「設計は建設コンサルタント」、「施工はゼネコン」さらに工事監理は「行政」という風に分かれています。

一方、海外では、「ゼネコン」、「建設コンサルタント」と業界は分かれておらず、そもそも「建設コンサルタント」という言葉すらないです。
建設会社は、通常「エンジニアリング企業」と自ら名乗っています。
そして、計画、設計、工事監理、施工等のエンジニアリングサービスを提供しています。
欧米の公共事業というのは、ほとんどが伝統的な設計、施工分離方式ですが、その意味は、設計者が、自分が設計した構造物等の施工入札に参加できない決まりになっているのです。
つまり、「建設エンジニアリング企業」は、ある時は、「設計者」、ある時は「施工者」となります。
そして、設計者が工事監理者として、プロジェクト全般に関与します。

設計者が工事監理をするのですから、日本のように「図面と、現場が合わないじゃないか!こらー!」みたいな、建設コンサルタントだけが一方的に糾弾されることも少ないでしょう。
 また、建設分野のエンジニアは、ある時は設計、工事監理、施工とすべてを経験することができます。
 エンジニアの人材流動性も高く、建設プロジェクトベースで、数年単位で、いろんな会社で働いたりできるのです。もちろん、すごい高給です。年収2000万とか普通です。
 さらに、プロジェクトの合間に、長期休暇や学校に通って自分の価値をさらに高めることもできます。年収2000万もあれば、1年くらい自己投資のために休んだってどうってことありません。
 エンジニアリングのプロとして、自分でリスクを負って、一生、実力だけで勝負できるのです。

 それに比べて、日本のように「ゼネコン」、「建設コンサルタント」、「行政」と分かれて、建設コンサルは現場を知らず、ゼネコンは計画設計を理解していない、それぞれ終身雇用の年功序列で一生同じ会社に勤め続ける。
 そして、お互いに馬鹿にしているような状態は、日本の社会利益になっていません。
 また、日本の建設エンジニアは、自分の実力も知らず、勝負もできず、社内の人間関係にも苦労して我慢して暮らさなければならないので不幸と言えるでしょう。
 
 個人的には、日本も欧米の建設産業みたいになってほしいと思いますが、終身雇用、年功序列の社会制度というのは、日本の伝統的な価値観みたいになっていて、なかなか難しいと思います。
 
 少しでも良くする糸口としては、建設エンジニアの人材の流動性を増やすことだと思いっています。
 計画、設計・監理、施工に精通したスーパーエンジニアになるためには、実力のあるエンジニアが、コンサルや、ゼネコン等転職していろいろ経験できるようになれば、よいのです。

私が人材紹介業を始めた意味は、建設エンジニアが自分のキャリアプランを定めて自由に動けるようなお手伝いをしたいのです。
 
 といっても、まだまだ、中途採用の壁や、業種の壁といったものも大きいのですが、最近は、優良求人や、転職成功事例も増えて来ました。

 今後も、優良求人を発掘し、ゼネコン→建設コンサルタントや、その逆という事例を増やしていきたいと思いっています。

 ゼネコンや建設コンサルタントで活躍中の現役エンジニアのみなさん、いろいろ挑戦したいと思っている人の、ご相談お待ちしています。