発注者支援、施工監理業務はキャリアとして有効か?

「発注者支援業務」というのは、いわゆる客先常駐で、行政の職員のように働く仕事です。建設コンサルタントにお勤めの、計画・設計系の技術者の皆さんは、会社から「発注者支援に行ってくれ」と言われたら、どんな気分になりますか?

 私自身が建設コンサルタントの技術者時代は、「行きたくない派」でした。 ※古い時代の話です。

発注者支援に行きたくなかった理由

当時の私が、施工監理、発注者支援に接する機会は、発注者の事務所内に見かける「正職員と別の色の作業着を着て下働きをする人」で、正直「こういうのはきついな」という印象でした。

 また、一人当たりの売上高は、「発注者支援業務で1000万強」、「建設コンサルタント業務、3000万」ということで、低評価の人が出されるイメージがあり、発注者支援業務は、あまりキャリアにならないと考えていました。しかし、それは勘違いだったと思います。

発注者支援はキャリアとして有効」な理由

建設技術者としてのキャリアを考えると、発注者支援等の客先常駐の経験は、キャリアとして大変有効であると考えています。理由は、建設事業の全体(計画~設計、施工、維持管理)に幅広く関与できる可能性があるからです。

具体的には

①現状の建設技術者の問題点

公共の建設事業は、設計施工分離の原則で、「行政(発注者)」と「建設コンサル(計画設計)」、「建設会社(施工)」の三者体制で行われます。

日本社会は、どの組織も年功序列・終身雇用ですから、現役世代の人材の流動性は少なく、転職するにしても、行政→コンサル、コンサル⇔ゼネコン、といった枠を超えた人材の流動性は、あまりありません。

そのため、現状は、「建設コンサルタントは、現場を知らず」「ゼネコンも計画、設計を知らず」「行政も甲の立場で業者の粗を探して万能感に溢れた」人ばかりになります。

よって、現状は、計画、設計、施工の建設事業全体に精通した人材は、ほぼ存在しません。これでは、国際競争力を持つどころか、建設事業全体の最適化が図られるのか疑問です。

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②建設技術者のあるべき姿

本来の「エンジニア」というのものは、組織に依存せず、技術のプロとして活動して報酬を貰うべき独立した存在であるべきだと思います。そして、エンジニアが何歳になってもプロジェクトベースで行政やゼネコン、コンサルタントと自由に動いて、いろいろ挑戦できる産業構造が理想的です。

社会利益的に考えても、全体(計画設計施工)の流れに精通した人材が、コンサル、ゼネコン、行政など、それぞれの立場に存在した方が、建設事業全体の最適化が図られて、社会利益の最大化が可能になります。

企業間の技術競争で考えても、企業が人材を一生抱え込むのではなく、建設事業全体に精通した人材を揃えることを競うことこそ、本来の技術競争であり、国際競争力につながり、さらに枠を超えて活躍するエンジニアの存在が建設技術者の地位も向上させるものだと考えています。

③発注者支援のメリット

建設技術者の人材の流動性を上げること、キャリアアップのお手伝いをするのが、当社の使命だと、勝手に思っているのですが、現在、それぞれの組織に、自称スーパーエンジニアはいますが、現役世代のほとんどが自分でリスクを取って外の世界で勝負しません。日本社会は「組織をドロップアウトした人間には非寛容」という現実がありますので、それも仕方がないことではありますが。

そのような中で、発注者支援業務は、建設技術者にとって計画、設計、施工、維持管理など建設事業全体に関与できる機会になります。特に、建設コンサルタントにとって顧客は行政機関であり、計画設計業務は、契約上は行政の代理人なのです。

そのため建設コンサルタント技術者にとって、発注者支援業務などで、行政内に常駐し、経験を積むことは、大変貴重なキャリアになるでしょう。計画設計を行う人材も、発注側の経験を持つことで、よりハイレベルな提案ができるようになるはずです。

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おわりに

私自身は、設計施工一括発注業務の経験はありますが、現場、発注者常駐系の業務経験がなく、「2,3年くらいは現場経験しておけば良かったな~」と思っています。

特に30代以上で、設計等で既に一人前の人材は、施工監理系の業務を一度は、経験しておくべきだと思います。

当社、大手コンサルタント(社員として)から元請けからの発注者支援、施工監理、さらに主体性のあるCM、PM業務等もご紹介可能すので、是非、ご相談いただければ幸いです。

 よろしければ 「発注者支援業務とは?」(別サイトに移ります)もご覧ください。

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