企業ホームページへの直接応募は採用確率が上がるか(人材紹介vs直接応募)

人材紹介業というのは、求職者は無料ですが、採用企業側から紹介報酬を受け取ることで、ビジネスが成り立っています。
そのため、直接応募すれば、「企業側の紹介料負担がない⇒採用確率が上がる」と、考えている人は多いのではないでしょうか。

私も以前はそのように考えており、また、入りたい会社も明確だったので、実際に直接応募し転職に成功したこともあります。

人材紹介業の利用のメリットは、エージェントによるキャリア相談や、情報を持たない求職者に、より優良な求人先を紹介していただけることであり、採用確率は多少下がるのではないかと考えていました。

しかし、自分が人材紹介業で経験を積んでいくうちに、優良企業において直接応募は採用確率が低いことに気が付きました。

世の中とんでもない人もいるもので、人材紹介業というビジネスの仕組みを理解した上で、当社に求職応募し、紹介候補を聞いた上で「自分で直接応募する。だってその方が採用確率が上がるでしょ?」などと主張する人がいます。
紹介先候補を挙げた途端に、音信不通になる人、中には、一か月後に「紹介候補に直接応募しましたが全滅でした。他の候補を教えてください」と言ってきた人がいます。

こちらの記事も参考にどうぞ「人材紹介業をやっていて困る求職者」

世の中「モラルが崩壊している人」が多いことに驚きますが、直接応募者はこのような人がゴロゴロ混じっていますので、企業側はとても警戒しています。

いくつか実例を示そうと思います。
当社は様々な企業と取引させていただいておりますが、ある世界的なエンジニアリング企業の採用担当者から、教えてもらったデータです。
その大企業は、中途採用応募者年間3000人近く(直接応募と人材紹介業経由の合計)あり、実際に中途採用されるのは、100人弱とのことでした。採用確率は3%という狭き門です。
その会社の中途採用者の大部分は、人材紹介業者からの紹介とのことでした。
ちなみに人材紹介業者からの採用確率は、1/8、つまり12%程度とのことでした。
大部分が人材紹介業者からの採用ということですので、中途採用100人中80人が人材紹介業者からの採用とすると、直接応募での採用は残り20人でその採用確率は、20人/2360人となり、直接応募の採用確率は、1%以下となります。
つまり直接応募は、ほぼ採用されないということです。
直接応募より人材紹介業者経由の方が採用確率は、圧倒的に有利です。

直接応募者は、「書類審査段階でほぼ通らない」ということでした。直接応募者は、募集要件に当てはまらない人が多く、また怪しげな人(経歴詐称者、詐欺師など)も混ざっている恐れもあり、かなり厳しく見られるとのことでした。
中には毎月応募してくる人もいるとか。

建設コンサルタント業界の場合、そこまでは極端に、直接応募者が不利になることはないと思いますが、話は聞いています。

建設コンサルタントの事例ですが、当社は大手企業の元幹部クラスの人もパートナーになっていただいているのですが、その方からのお話しですと、「直接応募者は大量に来るが、ほとんど相手にしない」ということでした。
同様の話を、別の大手コンサルの人からも聞いています。理由は、「怪しい人がたくさんいる」からだそうです。
過去にいろいろあって懲りているんでしょう。

 一つ質問したいのですが、仮に、あなたが経歴詐称して入社しようとする詐欺師だとしたら、直接応募と人材紹介どちらを選びますか?
人材紹介業の場合、見破られるリスクがあります。その後、損害賠償等の係争リスクは少なくとも二倍以上、当社のような業界経験者が業種特化活動しているエージェントは、プロですから、見抜く能力があり、リスクは何倍にもなります。
そのため、ほんとんどの経歴詐称者は、直接応募者の中に混じることはお分かりいただけると思います。

あなたが会社経営者だとして、経歴詐称者は雇いたくないのは当然ですが、人材紹介業者を騙して企業名を聞き出して、自分で応募してくるような人を採用したいと思うでしょうか? そのようなモラルの低い人に業務を任せることができるでしょうか?
そのため、まともな会社であれば、直接応募者の経歴・実績が真実であっても、モラルの低い人が混じっている前提で考えています。
直接応募者の信用度はかなり低いと言えるでしょう。

次に、人材紹介業者に払う紹介報酬が、企業側の採用の可否に関係するかどうかについてです。

人材紹介業者が、企業から受け取る紹介報酬は、安いものではありません。しかし、まともなご紹介者であれば、採用後、数か月で元が取れる金額です。
採用企業にとっては、たった数か月分で元が取れる投資で、長年にわたって利益を確保できるので、人材投資(人材への給与や、獲得費用)は、とても費用対効果の高い投資になります。
多くの、まともな経営センスがある建設コンサルタント会社は当然、そのような人材投資は惜しみません。
建設コンサルタントの技術者においては、紹介報酬が、採用可否にほとんど影響がないと思います。

 直接応募の方がよいケースがあります
それは、人材に投資する意識の無い企業です。
技術者に働きに応じた給与を払うつもりもなければ、社員教育もしない、人材獲得にお金を使うつもりもない会社です。
向上心のない、無気力な従業員の集まりのような会社です。

 そういう会社は、常にじり貧なので、決して人材紹介業は使わず、無料で求人できるハローワーク等でのみ、常に「技術士、RCCM、給与20万~35万」というような求人を出しています。
そういう会社に行きたいのであれば、直接応募すれば雇ってもらえると思います。

 人材紹介業者を使うか、個人の判断にお任せしますが、
建設技術者で、人材紹介業を通じて転職を希望される方は、是非当社をご利用ください。

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