恐怖!強引に入社させられた人の話

人材紹介業をやっていると、いろいろな人から過去の転職話を聞くことができます。
その中で、「今の会社に無理やり入社させられてしまった。辞めたい」という相談があります。
また、「無理やり入社されられることはありませんよね」と確認を取る人もいます。

いくつか、そのような事例についてまとめてみました。

事例1:友人に誘われて会社訪問に行ったら

 Aさん(仮称)は、転職しようか悩んでいたそうです。
それを友人に伝えたところ、その後、「じゃあうちに話だけでも聞きに来てみれば」と言われ、断るのも友人に悪いと思い会社訪問してしまったそうです。
話を聞きにいくだけ、軽い気持ちで訪問すると、社長から役員まで顔を揃えていて、会社訪問ではなく完全に面談だったそうです。
そこで、「君のような人材は、是非来てほしい」と激賞されましたが、会社上層部から、そのように言われると、悪い気はしません。

 会社訪問後(実質面談)、その友人と飲みに行きました。そして飲みながら「うちの会社どう?」と感想を聞かれ、「なかなか良い会社だと思う」とAさんは答えました。
「じゃあうちにくる?」と聞かれて、Aさんは、「う~ん?」というあいまいな感じで濁しておきました。
その後、「もう一軒行こうか、良い店を知っている」と言われて連れていかれた高級なお店で、先ほどの社長や役員が勢ぞろいしていたそうです。
「うちに入社してくれるそうで、ありがとう!」と言われ、ごちそうを振舞われて、断ることができなくなってしまったそうです。
「うちに来る?」への回答を「うーん?」と答えたつもりが、「うん(了解)」と無茶な解釈をされて、話が進んでしまったわけですが、すっきりしない気分のまま、転職する羽目になってしまいました。

事例2:人材紹介業者に強引に転職させられた

 Bさん(仮称)は、転職を考えており、ネットで検索して出てきた人材紹介業者にいつくか登録してみたそうです。
すると、すぐに電話がかかってきました。その人材エージェントが「最寄りの駅まで行くので、今すぐに会いましょう」というのです。
喫茶店で会うと、なんと、その場で履歴書、経歴書を記入させられ、「よい紹介先があるよ」と候補を告げられ、そのまま面談の約束をしてしまいました。
ご本人も訳わからないまま、面談に行ってみると、役員勢ぞろいで面談を受けました。
面談後、総務担当者が雇用条件を書面で提示し、「ここにサインをしてください。」と入社応諾書へのサインを要求してくるのです。
そこで、「いやそれは、ちょっとこの時点では」と抵抗すると、エージェントが切れ気味になって、「これ以上の求人は絶対ない!」、「多少希望と合わなくても文句をいってはいけない」、「役員の皆さまが貴重な時間を確保して集まっていただけたのだから」などと言って、入社応諾を迫ります。
採用会社側は、「だってあなたが是非入社したいというから面談したんでしょ!」などと不思議そうに言います。
どうもエージェントは、会社側には「是非御社に入社したがっている求職者がいます」、求職者には「是非、社長が会いたがっています」と、虚言を言っているようです。
しかし、Bさん一人が多数で取り囲まれて応諾を迫られてしまい、入社応諾をしてしまったそうです。
その後、エージェントは満面の笑みでしたが、ご本人は、腑におちない思いで転職をしたそうです。

事例3:人材紹介業者に有名企業を紹介され入社してみたら。。。

 Cさん(仮称)は、20代後半、大手建設コンサルタント会社での激務につかれてしまい、いったん退職し、しばらくのんびりしていました。
次の転職先は中規模の建設コンサルタントでキャリアを積めるところを考えて、いくつかの人材紹介業者に登録してみました。
すると、ある人材紹介業者が、テレビでCMをやっているような誰もが知っている有名企業を紹介候補に挙げてきたそうです。
有名企業グループのエンジニアリング会社で、仕事は開発、設計、施工管理ということでした。
エージェントが話すには、まだ20代で設計経験もあり、採用確率が高いとのことでした。
有名企業です。友達に自慢できます。早速、エージェントに勧められるままに応募しました。
そして、都心の一等地の綺麗なオフィスでの二度の面談を得て内定が出ました。
Cさんは、既に前職を退職しており、就職は急がずに、じっくりと何社か面談し、次の転職先を探すつもりでした。
他の紹介業者から紹介されていた中堅レベルの建設コンサルタント会社で、よいキャリアを積めそうな紹介も受けていました。

ところが、有名企業の内定応諾期限は、二週間だというのです。二週間を過ぎると自動的に辞退となります。もし、辞退した場合は、二度と同じ会社に応募できない決まりがあるようです。
もし、他の会社の面談等を受ける場合、この有名企業は諦めなければいけません。
エージェントも、「まだ20代なので、今なら第二新卒として扱ってくれる。福利厚生のよい有名企業に入るチャンスはこれが最後」などと説得するのです。
辞退するにはもったいない気がして、Cさんは、有名企業グループ会社の内定に応諾しました。

実際に入社してみると、実態はエンジニア派遣業のような会社でした。確かに残業も少なく、給与も前職とあまり変わりませんでした。しかし、日々、キャリアにならない業務が続き、気が付けば5年も経ってしまい、30代半ばも近くなってしまいました。
あの時に、中堅の建設コンサルタントに転職していれば、キャリアを積んで、技術士も取得しているかもしれません。将来を考えると不安の日々です。

以上、これまで見聞きした多くの事例の中から代表的なものを、書いてみました。(多少アレンジしています)

こうした転職事例に共通して言えることは、知人の紹介にしろ、人材紹介業者にしろ、スピード勝負で、他社に人材を取られない内に、求職者に考える暇を与えず入社応諾させようとしてきます。
とにかく、まず会社訪問、面談に持ち込み、入社応諾を迫ります。
こうして半ば無理やり応諾した場合は、不信感を持ったまま、その会社に入社することになります。また何社か比較して決めた訳ではないので、雇用条件(給与等)も落ちるのが普通です。

当社の場合、求職者と採用企業側、双方の希望する職務、働き方が合致し、お互いwin-winの関係で、長期に渡って活躍していただけることを重視しています。

そのため「当社では強引に入社応諾を勧めることはありません。」
入社応諾は、面談後、必ず、いったん自宅に戻ってから、会社側に雇用条件等を書面で発行していだき、書面によりご確認いただいております。
その時点で、再交渉や再面談になることもあります。

また、雇用条件(内定通知)を発行後、内定応諾期限を定めて入社応諾を迫ることもありません。常識的な範囲(期間)での判断をお願いしています。
例え、他の紹介業者からの紹介で他社を受けていて、その結果を比較して判断したいということであっても、ご本人の意思を尊重して対応しています。

また、一度辞退した会社に次年度に再交渉し入社する事例も結構あります。

「人材紹介業者は怖い、怪しい」とご不安な方も、当社では、強引に転職等は進めることはありませんので安心してご利用ください。

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